公式LINEはじめてます!

作業内容をしっかり整理し、把握する。

どういう作業環境にしたいか?

まず、結論からいうと… 

中途半端な設備導入は、かえって不利益を生む。

ということです。 

予算的な問題もあるのかもしれませんが、初めに〝どんな風な作業環境にしたいのか?〟というゴールを決めることはとても大切です。

自動化? それとも、手作業で?

作業環境についての考え方のひとつが、

自動化するか? 手作業をメインに考えるか?

ということが挙げられます。

印字機器の導入で、よく相談されるのが印字対象物を機械を用いて自動で行うか? それとも、人による作業で行うのか? という話題です。 当然、コストとの兼ね合いもあることなのですが、安易に決めずに作業性や将来を考えながら、しっかり吟味することが大切になります。

設備費用という面から考えると、人による対応が初期費用的には安く抑えることができます。 しかし、作業性や人件費などの面を考えると自動化が有利な場合もあります。 

AIに描いてもらった… 機械と人手の作業のイメージ。w

なぜかと言えば、人による作業の場合、その作業に『人が拘束される』からです。 単純に言い換えると、〝付きっきり〟になるということです。

自動化するのであれば、機械がその作業をするため人の介入は短時間で済みます。 言い換えると、機械で処理をしている間、その方には別の仕事をしてもらうことができる… というわけです。

また、将来的な増産や恒久的な生産数が決まっているのであれば、自動化で考える方が得策です。 なぜなら、人による作業の場合、「処理数(出来高)」にムラが生じる可能性が否めないからです。 

人による作業で注意すべきは〝個体差〟です。 同じ作業をするのでも、人には、得手不得手というのがあります。 「人の個体差」で処理(生産)数にも差が生じるということです。 作業能力が高い人に依存してしまうと、その方がいない場合に生産数が落ちてしまうという問題が発生します。

〝リズム〟の問題。

印字作業への〝安全性〟の側面で言えば、自動化が望ましい場合もあります。 どういうことか? というと… 

例えば、印字を行うラインに、手作業でワーク(印字対象物)を置いていくという場合、問題になるのが『リズム』だからです。 特に人による作業の場合、人の手のリズムが大きく影響してくる場合があります。 

リズムは、遅い人もいれば、早い人もいます。 つまり、バラバラだということです。 一方、自動化の場合では機械的な動作になるため一定のリズムを得ることができます。 

それが〝安全性〟に大きな差を与えるのです。 印字対象物をコンベアに投入していく場合をイメージしてみます。(下図参照。)

人による作業では作業者によって、投入するワークの間隔が一定せず、バラバラになってしまうということが起きます。 例えば、後続する製品が前方の製品と密着してしまったり、あるいは、接近しすぎるという状態がそれです。

産業用インクジェット 印字

産業用インクジェットで印字を行う場合、印字を開始するためにトリガー信号(印字指令)が必要になります。

この時、搬送される製品同士の間隔が密着、あるいは接近しすぎると、後続する製品が印字されないという問題が起こってしまう可能性があります。 印字後の確認が行われない場合、〝無印字品の混入〟というトラブルが発生してしまうのです。 

ワークが自動で投入される場合、一定の〝リズム〟で投入が行われるため、こういった問題は発生しずらいということが言えます。

作業環境を肥大化させないこと。

人による作業をしていて前述のようなトラブルが発生すると、だいたいのケースでは、その都度、対策会議が行われ、その都度、何かしらの対応策を実施するという流れになっているようです。

例えば、前述のような〝無印字〟が発生したような場合では、カメラを導入するといった対応策が導入されます。(下模式図 参照)

産業用インクジェット 印字

確かに、カメラによる検査も有効です。 製品の品質を考えていく上では、重要な事がらだと思えます。 

なのですが… 

根本的なことを言うと、少し本質からずれてしまうのは否めないです。 それはなぜか? というと、手作業は臨機応変に対応できて便利な反面、予測不能なトラブルが起きやすいのです。 

今回のケースではカメラで対処できたのかもしれませんが、結局、こういった対応は、一時的な〝対処〟でしかないため、また、新たな問題が発生してしまう可能性があるということです。 その都度、対策を導入するということは、作業環境(ルール)を肥大化させてしまう要因にもなりえます。 

ルール(検査機器などを含む)が肥大化すれば、そのルールを守るためことへの作業が煩雑になり、それがまた、トラブルを誘発してしまうという悪循環が起きてしまう問題をはらんでいるのです。

処理能力の問題。

人手に頼る場合には、作業者の体調やスキル(習熟度)によっても仕事量にバラつきが生じるという問題をはらんでいます。 同じ仕事でもベテランの人が行う場合と、経験の浅い者にさせるのとでは全然違いますよね?

作業現場では、概ね、ベテランさんのスキル(能力)を見込んだ生産計画を立てるキライがあるようです。 しかし、ベテランさんが対応してくれるからと言っても油断は禁物です。 

時に〝魔がさしたかのように〟トラブルが発生してしまうのです。

また、近頃では、所得年収の壁などで、作業者の労働時間の確保が難しくなってきていますよね。 加えて、ベテランさんの高齢化という問題もあります。 また、少子高齢化により人手自体の確保もままならならず、ベテラン技術の後継問題というのも… これらは、安定した生産計画を立てていく上で、大きな障害になりえます。

もうひとつ、懸念したいことがあります。 それは、コロナで体験した感染症への対策です。 

コロナの時あった〝外出制限〟などのような事態が起きると、人手に依存している生産現場では死活問題ですよね。 ああいったことを体験したからこそ、過去の方法を見直し、作業環境がより善い方法になるような取り組みが必要なのだと思います。

もし、新規で設備を考えられるのであれば、初めから自動化を視野にいれて考えた方がベターだということを強くお奨めします。 自動化すれば、安定した生産数が確保でき、作業者のスキルにもそれほど影響を受けません。 なので、作業人員の確保でアタフタするよりもかえって楽になります。 

初期投資はかかるでしょうけど、後々のことを考えるとメリットは大です。 まぁ、それにしても予算な面もあるでしょうから、その点はよく考えての判断をお願いしますね。


 3つの視点

◎ メーカーは〝人〟で選ぶ!
◎ 適材適所を意識する。
◎ 作業内容をしっかり整理し、把握する。