「印字がにじむ」「かすれる」「ずれる」「ミスが多い」そういう相談をいただくとき、まず確認することがあります。「今、どんな方法で印字していますか?」って。
手捺印・ホットプリント・スタンプ——これらの方法には共通する問題があります。装置を替えても解決しない理由も、たいていここにあります。
こんにちは。
大阪・柏原市で、
印字作業や印字工程を楽にする仕組みづくりに関わっている
マーキングコトはじめ、担当のけたろーです。
今日もありがとう、感謝です。
というわけで、今回の話題は…
印字工程を見直すべき6つの理由と、見直しのポイントをお伝えしますね。
では、さっそく、1つ目から。
① コストが「見えにくい場所」で『不』が積み上がっている
手捺印やホットプリントは、装置への初期投資が少なくて済みます。
だから「安い」と思われがちです。
でも、実際に現場を見ると、見えにくいコストが積み上がっていることが多いです。
- インク・リボン・スタンプ台の消耗品コスト
- 印字ミスによる廃棄ロス
- ミスが出たときの手直し・再作業の人件費
- 段取り替えのたびに発生する作業の手間と準備時間
- 品質確認のための検品工数
1回あたりのコストは小さくても、1日・1ヶ月・1年で積み上げると、けっこうな金額になります。「今の方法で安くやれている」と思われているなら、一度トータルコストを計算してみてください。
答えが変わるかもしれません。
② 品質のばらつきが、クレームの火種になる
手捺印やホットプリントは、「押す」作業です。
力加減・位置・速度——どれも加減によって微妙に違います。また、物理的な接触によるものなので、対象物の素材や、表面の具合によっても変わります。特に、捺印による場合では、朝一番と作業終盤では、同じ人でも仕上がりが変わります。
疲れ・集中力・体調。それに加えて、作業者の性格。
それが品質に出ます。
最近では特に海外事業所で作業をされる場合も多くあって、あまり言うべきではないかもしれませんが、気質による作業の良し悪しは顕著なようです。
賞味期限・ロット番号・注意表示——これらの印字がかすれたり読めなかったりすると、最悪の場合リコールにつながります。
ボクも実際に、その類の相談を受けたことがあります。「海外工場で作業をさせているのだけど、捺印の仕方が雑で、見場が悪くなって困る」というご相談でした。
海外スタッフからすれば「捺印は単なる作業であって、歪もうが、押せてたらどうでもいい。」という感じなんでしょうけど、“製品として” の品質を考えれば、たかが捺印、されど捺印なのです。
捺印と言えど、そこにゆがみやカスレ、よごれがある場合には、買い手の印象としてどうでしょう? 些細なことながら、品質管理に対して無頓着だなという印象を与えかねないのです。
結局、企業としての品質の捉え方やその姿勢に反映されるというわけです。特に、日本品質をうたわれるのであれば、その点はしっかり、対応したいところです。
印字品質は「だいたい合ってる」では済まない情報が多いです。ダイレクト印字(インクジェット・レーザー)に切り替えると、同じ条件で安定した印字が再現できます。
③ ベテラン依存の工程は、いつか必ず止まる
「あの人がいないと作業がうまくいかない」
こういう現場、よくあります。手捺印やホットプリントは、コツや感覚が必要な作業です。新人がすぐにできるかというと、そうでもない。教えるのにも時間がかかります。また、こういった作業は属人化(作業者が固定化してしまうこと)が起きやすいのです。
ベテランが定年・退職・病欠——そのとき初めて「属人化していた」と気づくケースが多いです。
ダイレクト印字への切り替えは、作業の属人化を解消するひとつの方法です。機械が設定通りに印字するので、誰が操作しても同じ結果が出ます。
④ ダイレクト印字への切り替えは、思ったより難しくない
「インクジェットやレーザーは高そう」という声をよく聞きます。たしかに、数10年前は、かなり高額な器材でした。しかし、現在は求めやすい価格帯になっています。
また、「ラインに組み込めるか心配」という懸念ももたれるようですよね。実際、装置単体を入れるだけでは難しいケースがあります。でも、それは装置の問題ではなく、周辺の工程設計の問題であることがほとんどなのです。
- 容器の搬送方法が印字に合っていない
- 印字面の向きが対象物によってそろわない
- ラインのスペースが足りない
- 既存設備との接続が難しい
これらは、印字機器の設定というより、むしろ、周辺装置の設計で解決できます。
印字機器をうまく活用していくには、周辺装置を中心に「工程全体として機能する形」に設計することが大事です。まず現場を見て、何が課題かを整理する。それだけで「難しい」が「できる」に変わることが多いです。
⑤ 周辺装置の設計次第で、現場の使いやすさが決まる
これが、一番伝えたいことです。
インクジェットやレーザーなどの印字機器は、どのメーカーのものを選んでも一定の性能はあります。
問題は、その機器を「現場でどう使うか」です。印字機器の性能を最大限に引き出すのは、周辺装置の設計です。
- 搬送速度と印字タイミングの同期
- 印字対象となる製品の姿勢を安定させる搬送構成
- 段取り替えのしやすさ
- 清掃・メンテナンスのしやすさ
- 既存ラインとの接続性
「装置を入れたのに印字が安定しない」という相談の多くは、印字機器の問題ではなく周辺設計の問題です。
印字機器を売ることが目的ではなく、現場で安定して使いきることが目的——マーキング・コトはじめが大切にしているのはそこです。
⑥ 手捺印・ホットプリントの致命的な弱点——トレーサビリティ

現在を考えるうえで、6つ目が、もっとも大事なことなのかもしれません。DX化が叫ばれる今、製造現場に求められているのは「円滑に履歴が記録・参照できる」ことです。
手捺印やホットプリントでもトレーサビリティ対応は可能です。ただし、紙台帳に頼った記録・管理になるため、手間とコストが大きくなります。それが、致命的な弱点です。
トレーサビリティとは、製品の「いつ・どこで・どのように作られたか」を追跡できる仕組みのことです。食品・医薬品・化粧品・工業部品——あらゆる分野で、この追跡可能性、および容易性が求められるようになっています。
紙台帳を使えば、記録も参照もできる… と言われるかもしれませんし、実際にその対応で処理をされているところもあると思います。
でも、今は、コンピュータが主流の世界です。コンピュータを活用すれば、効率よく、かつ、的確に記録・参照することができます。
手捺印・ホットプリントでは対応が難しいこと:
- 印字データが電子システム的に記録されない
- どの製品にいつ何を印字したか、容易に追跡しづらい
- ロット番号・製造日時の自動連番ができない
- バーコード・QRコードの動的生成ができない
- 問題発生時の調査に、大量の紙台帳を照合する必要がある
インクジェットやレーザーマーカーなどのダイレクト印字機器は、上位システム(生産管理システム・ERPなど)と連携することで、印字データをリアルタイムで記録・管理できます。
「うちはまだDXとか関係ない」と思っているかもしれません。
でも、それは過去のことなのかもしれません。ご周知のとおり、日本国内の環境は急速にかわりつつあります。
かつての日本は「性善説」が通用する社会でした。 しかし今は、その前提が少しずつ変わってきています。
インバウンド・在留外国人の増加、消費者意識の変化—— 社会環境が変わる中で、「何かあったときに証明できる」という 企業側の備えが、以前より重要になっています。 トレーサビリティは、お客様への誠意である以上に、 企業を守るための防御策でもあります。
取引先から「トレーサビリティの対応を求められた」という相談は、年々増えています。対応を求められてから動くより、今から準備しておく方が確実です。
作業性の改善だけでなく、DX対応・トレーサビリティ確保の観点からも、ダイレクト印字への切り替えを検討する価値があります。
まとめ
手捺印・ホットプリントからダイレクト印字への切り替えは、単純に印字機器を移し替えるだけの話ではありません。工程全体を整理して、周辺装置を適切に設計することで、初めて現場に定着します。
- コストが「見えにくい場所」で積み上がっている
- 品質のばらつきが、クレームの火種になっている
- ベテラン依存の工程は、いつか必ず止まる
- ダイレクト印字への切り替えは、思ったより難しくない
- 周辺装置の設計次第で、現場の使いやすさが決まる
- 手捺印・ホットプリントはトレーサビリティの対応が煩雑になる
「今の方法を変えるべきか迷っている」「トレーサビリティへの対応をどうすればいいか」「どこから手をつければいいかわからない」そんな段階でも構いません。まず現場の話を聴かせてください。
ここまで、お読みいただき、ありがとうございます。
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