昨日まではきれいに印字できていたのに、今日は少し位置がズレている。同じ設定で流しているはずなのに、製品によって文字が伸びたり縮んだり、ときには印字そのものが乱れたりする…。
こんにちは。 大阪・柏原市で、印字作業や印字工程を楽にして、包装資材のSKUを整理する仕組みづくりをしています。 マーキングコトはじめ、担当のけたろーです。
今日もありがとう、感謝です。
というわけで、今回の話題は…
印字が安定しないとき、最初にプリンタを疑っていませんか?
「またか」と思いながらプリンタの前にしゃがみこんで、ノズルを確認して、設定を見直して…。 それでも次のロットでまた同じことが起きる。
そんな経験、ありませんか。
産業用インクジェットプリンタは、今ではすごくポピュラーな印字方法になりました。 しかし、産業用インクジェットプリンタを使っている現場では、こうした印字のばらつきに悩まされることが多いみたいですよね。
印字がおかしくなれば、まずプリンタの設定やインク、ノズルなどを確認するのは自然なことです。 もちろん、実際にプリンタ側に原因があるケースもあります。
ただ、何度調整しても安定しない場合には、少し視点を変えてみる必要があります。
というのも、産業用インクジェットプリンタは、プリンタだけで印字しているわけではないからです。
製品が決められた位置を通り、できるだけ安定した姿勢と速度を保ち、適切なタイミングで検知され、その製品に対してインクが吐出されることで、初めて狙った位置に印字できます。
つまり、印字品質を考えるときにはプリンタだけを見るのではなく、「製品がどのような状態でプリンタの前を通っているのか」まで含めて考える必要がある… ということなんです。
今回は、印字機そのものではなく、その周辺設備を設計・製作してきた立場から、印字が安定しないときに確認しておきたい基本の7項目を整理してみます。 もし一つでも「これ、うちのことかもしれない」と思う項目があれば、それが改善の糸口になるはずです。
その1.製品は、本当にまっすぐ流れていますか?

「印字がなんとなく右に寄る気がする」「製品によって印字の見え方が違う」——原因がはっきりしないまま、なんとなく気になっている…。 そんな状況はありませんか?
コンベアの上を製品が流れていると、見た目には問題なく搬送できているように感じます。 ところが、印字という視点で見ると、わずかな蛇行でも影響が出ることがあります。
例えば、ボトルや箱がガイドに当たりながら左右へ振れていたり、製品ごとにガイドとの隙間が違っていたりすると、プリントヘッドに対する製品の位置も少しずつ変化します。 その結果、印字位置が左右にズレたり、製品によって文字の見え方が変わったりすることがあります。
ここで確認したいのは、印字する瞬間に、毎回ほぼ同じ位置を通過できているかということです。
搬送としては問題のない数ミリのズレでも、印字位置に決まりがある製品では無視できない場合があります。
ガイドを狭くすれば解決するとも限りません。 加減によっては摩擦が増え、かえって姿勢が乱れたり、流れが悪くなったりすることもあります。 そのため、製品の形状や材質、搬送速度などを見ながら、無理なく同じ位置へ導ける方法を考える必要があります。
その2.製品の姿勢は安定していますか?
背の高いボトルや、柔らかい袋。
「これだけ、なぜかいつも印字が薄い」「これだけ、位置がバラつく」と感じる製品はありませんか? 特定の製品だけ調子が悪い場合、姿勢が原因になっていることが少なくありません。
四角い箱のように底面が広く、姿勢が安定している製品であれば、それほど問題にならないこともあります。一方で、背の高いボトルや柔らかい袋、底面の小さな容器、不定形な製品になると、搬送中の姿勢が印字品質に影響しやすくなります。
例えば、製品がわずかに傾いた状態でプリントヘッドの前を通過すると、印字面とヘッドとの距離が変わります。製品が前後に揺れている場合には、一つの製品の中でも距離が一定にならないことがあるんです。
こうした状態では、プリンタの設定をいくら細かく調整しても、製品そのものの姿勢が毎回違うため、安定した結果を得にくくなります。
そこで必要になるのが、単に「運ぶ」という考え方ではなく、印字しやすい姿勢をつくりながら運ぶという考え方です。
横からガイドする方法もあれば、上から軽く押さえる方法、製品を挟んで搬送する方法などもあります。
どの方法が適しているかは対象物によって違いますので、重要なのは特定の搬送方式を選ぶことではなく、「印字する瞬間の姿勢が毎回どうなっているか」を確認することです。
その3.プリントヘッドと印字面の距離は一定になっていますか?
「設定は変えていないのに、日によって濃さが違う」。
プリンタ側の異常を疑って点検しても、何も見つからない…。 そんな現象に心当たりはありませんか?
インクジェットプリンタでは、プリントヘッドから対象物へインクを飛ばして印字します。 そのため、印字する面とプリントヘッドとの位置関係が変われば、印字状態にも影響する可能性があります。
ここで意外と見落とされやすいのが、製品側での問題です。
例えば、容器の寸法にばらつきがあったり、搬送中に製品がガイドから離れたり、袋が膨らんだりへこんだりしていると、印字面とヘッドとの距離は一定になりません。「ヘッドは動いていないから距離も変わっていない」と考えてしまうと、この変化を見落としてしまいます。
確認したいのは、実際に製品を流したとき、印字面がどの位置を通っているのかです。 特に柔らかい包装材や形状が安定しにくい製品では、製品をどのように保持して印字面をつくるかが重要になります。
もう一点、品種によってプリントヘッド位置を変更している場合、調整の仕方によっては印字品質に影響を与える場合があります。
例えば、Aという製品向けに位置を変え、次に、B製品への位置を設定。 その後、A製品用に位置を戻した場合、前回のAの位置と、今回のAの位置が同じかどうか?
これを再現性と呼ぶのですが、プリントヘッド用のスタンドなどで、再現性が担保された構造になっているか? ということも、印字品質を確保していく上では重要なポイントになります。
その4.搬送速度は安定していますか?
文字が伸びたり詰まったりして、読みにくくなる。設定を見直しても、また同じ現象が起きる…。
もしそんな状態が続いているなら、まず、「搬送速度」も確認したいポイントです。
コンベアを一定速度に設定しているからといって、製品そのものが常に同じ速度でプリントヘッドの前を通過しているとは限りません。
コンベアの仕様によっては、速度が一定にならない場合があります。 速度が脈動している(揺らいでいる)場合、印字にも影響がでます。
そのため、設定した速度だけを見るのではなく、印字位置の周辺で製品がどのように動いているのかを確認することが大切です。 とくに、印字位置がシビアになる場合には、速度が重要になります。
印字機へ安定した条件を渡すことも、搬送設備の役割のひとつと考えると、確認すべき場所が見えやすくなります。
その5.製品を検知するタイミングは毎回同じですか?
印字位置の調整を何度もやり直しているのに、なぜか前後にズレる。 センサーは正常に反応しているはずなのに、原因が分からない。
もしそんな堂々巡りをしているなら、確認すべきはセンサーそのものではないかもしれません。
印字位置が前後へズレる場合には、製品を検知するセンサー周辺も確認する必要があります。
センサーが製品を検知し、その信号をトリガとして印字を開始する構成では、製品を検知する位置が不安定なら、印字開始のタイミングにも影響する可能性があります。
例えば、透明な容器や光沢のある包装材、凹凸のある製品などでは、対象物や検出方法によって検知状態が安定しにくい場合があります。
また、センサー自体は正常に検知していても、製品が斜めになった状態でセンサーを通過していれば、毎回同じ位置を検知しているとは限りません。
そのため、「センサーが反応しているから問題ない」ではなく、毎回、製品の同じ位置を基準として検知できているかというところまで確認する必要があります。
印字位置の調整を何度繰り返してもズレがなくならない場合、印字開始位置を変更する前に、そもそもの検出の基準位置が安定しているかを確認してみる価値があります。
その6.印字する直前に、製品同士が干渉していませんか?

生産量を上げようと製品間隔を詰めた途端、印字不良が増えた。そんな経験はありませんか?
「詰めたから速くなったはず」が、実は逆効果になっているかもしれません。
生産量を増やすために製品間隔を詰めて流すと、前後の製品が接触することがあります。 搬送だけを考えれば、製品が詰まらず流れているので問題がないように見えるかもしれません。
ところが、後ろの製品が前の製品を押していたり、製品同士が接触した瞬間に姿勢が変わったりすると、印字条件は安定しなくなります。
また、製品の間隔が十分でなければ、センサーによる検知や印字タイミングにも影響する場合があります。
そこで、印字工程では単に製品を連続して流すだけでなく、必要に応じて製品同士の間隔をつくる「切り離し」を考えます。 前工程からまとまって流れてきた製品を一つずつ分け、一定の間隔をつくってから印字工程へ送ることで、印字時の条件が整えやすくなります。
生産能力を上げようとして間隔を詰めすぎた結果、印字不良や停止が増えてしまえば、工程全体ではかえって効率が落ちてしまうこともあります。 また、手投入で作業を行っている場合にも注意が必要です。
大切なのは瞬間的に何個流せるかではなく、安定した状態で生産を続けられることです。
その7.「印字する場所」だけを見ていませんか?
プリントヘッド周りをどれだけ調整しても直らない…。
印字不良が発生すると、どうしてもプリントヘッド周辺へ目が向きます。 でも、不良の要因は、実はプリンタから少し離れた場所に転がっていることがあります。
例えば、前工程からコンベアへ乗り移るときに製品が傾き、そのまま印字位置まで流れている、あるいは、搬送中の振動が製品への印字時に影響を与えているなどがそれです。
こうした問題は、プリントヘッドの周辺だけを見ていても見つけにくいものです。
印字工程を改善するときには、印字の瞬間だけをみるのではなく、製品がどのような状態で流れてくるのか? をみることが大切です。
場合によっては、印字位置そのものには何も手を加えず、搬送や治具を改善することで印字が安定することもあります。
印字不良は、プリンタだけの問題とは限りません
印字が安定しないときの7項目を整理すると、こんな感じです。
- 製品がまっすぐ流れているか
- 印字するときの姿勢が安定しているか
- プリントヘッドと印字面の距離が安定しているか
- 製品の搬送速度が安定しているか
- 製品を毎回同じ基準で検知できているか
- 製品同士が印字直前に干渉していないか
- 印字位置だけでなく、その前後を含めて工程を見ているか
いくつ、心当たりがありましたか?
恐らく、多くの現場では、日常の作業として『だましだまし』運用しているというのが実際のところなのかなと思われます。 もちろん、印字不良の原因がプリンタ側にあることもありますので、すべての印字不良が搬送などの設備によって起こるという意味ではありません。
ただ、プリンタを点検しても原因がはっきりしない、設定を調整すると一時的には良くなるものの再びズレる、といった場合には、対象物の動きも一緒に確認してみてください。
産業用インクジェットを上手に扱っていくカギは、いかに、製品を含めた周辺を安定させるか? ということです。
だからこそ、印字工程を安定させるには、印字機器を調整することはもちろんのことと、印字しやすい状態で製品を整えることが必要なんです。
印字機を替える前に、印字工程そのものを見てみる
印字が安定しないと、「もっと高性能なプリンタなら解決するのではないか?」 と考えてしまうこともあると思います。 もちろん、製品や印字内容、生産条件に対して現在の印字機器が適していないのであれば、機種変更が必要になることもあります。
その一方で、原因が搬送や姿勢、位置決めにある場合には、プリンタを替えても同じ問題が残る可能性は否めないです。 せっかく高いプリンタに入れ替えても、同じ現象が再発すれば、それこそ余計なコストになってしまいますよね。
ボクらが考えているのは、現場スタッフの作業負荷を下げ、印字へのミスが起こりにくく、作業しやすいということも含めて、印字への作業環境を如何によりよく作っていくか? ということです。
製品の形や材質、生産速度、前後工程が違えば、適した搬送方法も変わります。
市販のコンベアで十分な現場もあれば、ガイドや位置決めを少し工夫した方がよい現場、対象物に合わせた周辺設備を考えた方がよい現場もあります。 最初から大掛かりな設備を考える必要はありません。
「印字機は正常なはずなのに、どうも印字が安定しない」
「作業者がずっと横について製品の向きを直している」
「品種が変わるたびに位置調整に時間がかかっている」
もし、ここまで読んで一つでも思い当たることがあるのであれば、印字工程を改善するチャンスなのかもしれないです。
うちは、印字機器のブローカーではありません。
印字機器を現場で使いやすくするための搬送、姿勢制御、位置決めなどについて、「この製品への印字を何とかできないだろうか」という段階から一緒に考えています。
今の工程で何が起きているのか、写真や動画を見せていただくだけでも構いません。 まずは、今の状態を聞かせてください。
ここまで、お読みいただき、ありがとうございます。
📘 もう少し深く知りたい方へ
印字機器の選定・導入に迷っている方へ。
考え方をまとめた無料冊子を配布しています。チェックリスト付きで、商談前の整理にも使えます。
無料でダウンロードできます。
まずは、話してみませんか?
印字作業や印字の工程で、同じような悩みはありませんか?
いま感じている「引っかかり」を、そのまま話してみてください。
図面も仕様も、まだ決まっていなくて大丈夫です。工程の整理から、一緒に考えます。
※ 有限会社大青鉄工の相談ページへジャンプします。
※ 売り込みを目的とした対応は行ってません。
どんな困りごとを解決してきたか?
記事・事例・動画の更新をLINEでお知らせしています。 気軽に登録してみてください。
『マーキング・コトはじめ』は、
有限会社大青鉄工(ダイセイテッコウ)が運営しています。
