公式LINEはじめてます!

インクジェット印字がきれいに出ない現場でまず確認すること

Last Updated on 2026-09-21

産業用インクジェットを導入したのに、

品種が変わるたびにプリントヘッドの位置合わせに時間がかかるとか、清掃のためにヘッドを外したら、元の位置へ戻すのにまた調整が必要になるとか、印字そのものは問題なくできているのに、毎日の作業では、なんとなく使いづらいとか…。 

そんな状態になっていないでしょうか?

こんにちは。 大阪・柏原市で、印字作業や印字工程を楽にして、包装資材のSKUを整理する仕組みづくりをしています。 マーキングコトはじめ、担当のけたろーです。 

今日もありがとう、感謝です。

というわけで、今回の話題は…

目次

きれいな印字を行っていくための基本

産業用インクジェットで印字するとき、印字状態を左右するものはいくつもあります。 

たとえば、インクと対象物との相性、印字機器での条件設定、搬送中のワークの状態などがそれです。 また、安定した印字を続けるためには、そういった条件だけではなく、プリントヘッドをどのような状態で設置するかも大切なポイントになります。

特に、多品種を扱う現場で、印字位置をたびたび変えるような場合では、単にヘッドを固定できればいいわけではありません。 

重要になるのは、位置を変えたあと、前と同じ状態へ簡単に戻せるか、ということです。 日々の作業まで考えると、この「戻しやすさ」が結構大事になってきます。 

この点では、プリントヘッドをどのような状態で設置しているのかが作用してきます。 当たり前のように思えるのですが、実際の現場では意外と見落とされやすいところでもあります。

キーポイントは、プリントヘッドとワークの距離と向き。

プリントヘッドとワークとの距離や向きが変われば、印字の状態も変わります。 つまり、印字の品質を安定させるには、プリントヘッドとワークの距離や向きを安定させる必要があるということです。 

では、そのプリントヘッドをどうやって設置するのか?

設置の方法は、印字を行う作業の仕方によって、さまざまな方法が考えられます。 例えば、既存の設備へ直接取り付ける方法もあれば、専用のブラケットや治具を使う方法もあります。 

その中で、よく用いられるのがプリントヘッド用のスタンドです。 スタンドを使えばプリントヘッドの設置位置が比較的決めやすくなるため、利用されるところも多いです。 

ただ、ここで、一つ考えておきたいことがあります。 それは、スタンドなら、どれを使っても同じなのか? ということです。

たかが、スタンド。されど、スタンド。

唐突ですが…。 映画やドラマでは、主役ばかりに目がいきがちですよね。 

でも、主役がいい仕事をするためには、その横で支える〝名脇役〟の存在も大切です。 主役だけがよくても、作品全体がよくなるとは限りません。

産業用インクジェットでいえば、印字を行うプリントヘッドが主役です。 では、その主役がいい仕事をするための〝脇役〟は何か? 

その一つが、プリントヘッドを設置するためのスタンドなんです。 ただし、スタンドを設置するにあたっては、その役割や役目を決める必要があります。

例えば、ワークへの印字位置がほぼ一緒で一度位置を決めたらほとんど動かさない現場と、品種によって前後や高さの印字位置を変えなければならない現場では、スタンドに求められることも違ってきます。

結局、「プリントヘッドが取り付けられる」ということだけで選んでしまうと、使い始めてから、

  • 位置合わせが面倒
  • 調整する人によって位置が変わる
  • 元の位置へ戻しにくい

といった不満が起こる場合があるんです。 つまり、スタンドを選ぶ際には、印字工程での操作性や作業性を考える必要があるというわけです。 逆に言えば、そういったことを考えて選べば、現場での日々の作業がすごく楽になります。 

主役であるプリントヘッドが、いつも快適で、いい仕事をしてくれるために、脇役であるスタンドに何をさせるのか?

たかが、スタンドなのですけど、毎日の印字作業まで考えると、『されど』スタンドなんですよね。

スタンドは、実際の使い方から考える

舞台裏で自分の役割に合った衣装を選ぶ男性俳優

では、どんなスタンドを選べばいいのか?

もし、すでに印字工程があって作業されている場合、まず見ておきたいのは、実際の作業でプリントヘッドをどんな風に使っているかです。 

また、これから導入を検討されている場合では、どういった品種を扱い、どこへ印字し、どんな作業になるか? を考える必要があります。 

例えば、一日に何度くらい品種替えがあるのか? 品種によって、印字位置を変える必要があるのか? その場合、高さだけの変更なのか? それとも、前後方向にも変える必要があるのか? 清掃やメンテナンスの時はどうするか?

同じ作業スタッフが調整や清掃、メンテといった作業をするのか? それとも、代わるのか? 

そういった使い方への内容が見えてくると、スタンドに必要な役割や性能も見えてきます。

作業内容を確認してみて、印字位置をほとんどを変えないのであれば、調整機構がシンプルでしっかり固定できる構造でも十分かもしれません。 

一方、印字の位置を頻繁に変える必要があるなら、調整のしやすさだけではなく、変更した位置から前回の位置へ戻しやすいことも大切になります。

結局、その現場の使い方に合っているかどうか、でスタンドの良し悪しが決まるということです。 

ただし、頻繁に位置調整が必要であるという場合、次に考えておきたいのが、『再現性』です。 印字作業では、この『再現性』がかなり重要になってきます。

少し、詳しく説明しますね。

日々の作業で大切なのは「再現性」

再現性とは、簡単に言えば、繰り返しのやりやすさのことです。

例えば、今、製品Aから製品Bへの切り替えでプリントヘッドの位置を変更したとします。 その後、再び製品Aを生産するとき、前回と同じ製品Aへの位置へ、簡単に戻すことができるか? ということです。

産業用インクジェットでは、プリントヘッドとワークの距離や向きで、印字の状態が決まります。 もし、同じ製品であっても、毎回、位置が変わってしまうのであれば、毎回違う印字になってしまっているということです。

だから、前回と同じ製品を流すのであれば、できるだけ同じ状態へ戻せる方がいいわけです。 方法として、時間をかけて微調整すれば、前回の位置へ合わせることはできると思います。 ただ、毎回、

「この辺だっけ?」 

と、憶測で位置を探しながら合わせるのと、再現性が確保できる機構を使って合わせるのとでは、作業する人の負担が違います。 また、調整する人の経験や感覚に頼っていると、

「この人ならすぐ合わせられるけど、別の人だと時間がかかる」 ということも起こりやすくなります。 

元の状態に戻すことができたとしても、その作業にかなりの時間が必要になるなら、生産性という面で問題になります。 また、毎回、確実に同じ状態に戻らない、もしくは、作業者によって状態が変わるのであれば、製品への品質の問題につながります。 

再現性は、品種替えに限らず、日々の清掃やメンテナンスでも同じです。 清掃やメンテナンスの後、毎回位置が変わるのであれば、それも問題になりえます。

そういう面で、『同じ状態へ戻しやすいこと』がすごく重要なのです。

円筒型のスタンドで起こりやすいこと

プリントヘッドの設置でよく見かけるのが、金属製の丸いパイプを十字に組み合わせたシンプルな構造のスタンドです。 印字対象となる製品のなかで、ほぼ印字位置を変える必要がないのであれば、このタイプで十分だと思います。 

ただ、製品によって、高さや前後位置を頻繁に変更する現場では、ちょっと不向きです。 

理由は、『丸い』という形状にあります。 また、金属製の場合では重さも関わってきます。 

例えば、高さだけを変えようと思って固定部分を緩めたとき、プリントヘッドがパイプを中心にクルッと回ってしまう。 また、前後方向を調整するときにも、同じようなことが起こります。

高さを合わせたかっただけなのに、ヘッドの向きまで変わってしまえば、今度は角度も合わせ直さなければなりません。 それに加えて、重さです。 

金属製では重さがあるため、固定部分を緩めるときには、重さに耐えながら作業をする必要があります。

もちろん、円筒型であっても、回り止めなどの工夫がされていれば、こうした問題を抑えることはできますし、重さの問題も、力のある方や、ふたりで作業するなどすれば対応はできます。 

そのため、「丸パイプのスタンドはダメ」というわけではありません。 ポイントは、どのように、そのスタンドを使うのかです。 

ほとんど位置を変えないのであれば、シンプルな構造で十分かもしれません。 でも、プリントヘッドの位置を頻繁に変更するのであれば、スタンドへの操作性、作業性も考えた方が、スタッフへの作業負荷は、かなり減らせます。

円筒型スタンドの問題点。

プリントヘッドを設置するスタンドで、多い形状が〝パイプをクロス状に組み合わせた〟格好のものです。 機械創りをしている立場でいうと、この構成は非常にチープで済みます。 製作上ネックになる箇所をあげるなら、クロスになる部分でしょうか。 それでも、パイプ材を組み合わせるだけですので、安上がりに製作ができます。

〝プリントヘッドを設置する〟という機能だけで言えば、これでも十分だと思えます。 ただし、一度決めた位置から、触らず、変えず、『固定して』運用するという場合に限ってです。 しかし、そうでない場合は、ものすごく使いづらい物になります。

なぜ使いづらいか? それは、『円筒形』だからです。 高さ方向や前後方向の調整の際に、円筒形なので回ってしまうのです。 印字対象物に応じて、頻繁に高さや前後の調整が必要である場合には致命的です。 

もっとも、円筒形であっても使用している部材に〝回り止め〟の細工をしている場合には問題ありません。 しかし、コストの関係で、そういったケアがされていない場合が多いのです。 

1回10分の調整でも、積み重なると結構な時間になる

舞台裏で衣装を整えながら時計を確認し本番に備える男性俳優

プリントヘッドの位置合わせに少し手間がかかっても、それが一回だけなら、「まあ、こんなもんか」で済ませてしまうかもしれません。 でも、調整への頻度を考えた場合、別の捉え方ができます。 

調整作業は、生産現場では毎日の作業になります。 

仮に、プリントヘッドの位置調整に1回10分かかり、それが1日に2回あるとします。 

すると、1日では『10分x2回=20分』費やしていることになります。 例えば、これを月25日の勤務日数で考えると、

20分/1日 x 25日(1カ月) = 500分 

500分は、約8.3時間です。 つまり、ほぼ1日に近い勤務時間が、プリントヘッドの位置調整として使われている計算になります。

しかも、実際に印字を開始するまでには、製品に合わせた印字内容の変更、印字状態の確認などといった作業も必要です。 そうした作業を終え、ようやくラインでの本生産を始めることができます。

このとき仮に、印字の段取りにかかる時間を少しでも短くできれば、その分、本生産を始める時間も早められるはずです。 特に、印字位置の調整を考えた時、

  • 元の位置がわからないから探している
  • 高さを変えたら向きまで変わったので合わせ直している
  • 人によって合わせ方が違うので、さらに調整が必要になる

といった本来の位置調整以外に発生している部分があるなら、そういったことへの配慮が重要です。 こうした事がらを念頭にスタンドを選ぶと、生産現場での作業性は飛躍的に改善できます。 

プリントヘッドスタンドの製作事例

現場での作業性に合わせて、これまでいろいろな形のプリントヘッドスタンドを製作してきました。 

形が違うのは、単にバリエーションを増やすためではありません。 使う場所やワーク、必要な調整、周辺機器などが違えば、使いやすい形も変わってくるからです。

4脚タイプのスタンド。

安定した設置を考え、4脚タイプのスタンドを製作しました。 ヘッドの高さや前後方向の位置調整を考えた構成にしています。 柱部分の高さも調整できる構造ですので、臨機応変に対応できます。

文字検査に対応したスタンド

印字後の文字検査用のカメラに対応した事例です。 

文字検査でカメラを用いる際、印字とカメラを別々に独立して設置されるケースが多いようです。 印字面が変わらない、被写体となる文字とカメラの焦点距離が変わらないので特に問題はありません。

でも、印字位置が変わる場合、カメラの位置も調整する必要があります。 そういったケースでは、プリントヘッドとは別々に設置するよりも、一緒に動かせるようにしておいた方が段取りを楽にできます。 

角フレームを使ったスタンド

角型のフレームを使うことで、調整時の回転方向への問題を解決しています。 アルミ製で軽量化を図っていますので、高さ方向への調整も楽に行えます。

角フレームを使ったプリントヘッド用スタンドの画像
角フレームを使ったプリントヘッド用スタンド

プリントヘッド部分への対応

既存の設備やスタンドを活かしながら、プリントヘッドの高さや前後位置を調整する部分だけをユニットとして製作することもあります。

現場での作業性や操作性を考える。

特定の印字機器メーカーに限定しているわけではありません。 まず見るのは、どのメーカーのプリントヘッドを使っているかということだけではなく、

  • どんな製品へ印字しているのか
  • どのくらいの頻度で位置を変えるのか
  • どんな調整に手間がかかっているのか

という、実際の作業です。 

そのうえで、スタンド全部を変えた方がいいのか、調整部分だけを変えればいいのか、それとも今のままで十分なのかを考えます。 

プリントヘッドスタンドについては、こちらのページでも紹介しています。 ▶ プリントヘッド用スタンドを見る

毎日の「ちょっと面倒」から聞かせてください

プリントヘッドの位置合わせに、毎回少し時間がかかる。 品種を元に戻したとき、前回と同じ位置になかなか決まらない。 清掃後の調整が面倒だったり、調整する人によって印字状態が変わったりする…。

一つひとつは、それほど大きな問題には見えないかもしれません。

でも、そういったことを繰り返しているのであれば、プリントヘッドの設置方法や調整方法を見直すことで、日々の作業を楽にできる可能性があります。

でも、だからといって、スタンドを新しくすることが前提ではありません。 今使っているものを少し変えれば済むかもしれませんし、別の設置方法を考えた方がいい場合もあります。

「スタンドを作ってほしい」と決めてからでなくて大丈夫です。 今、どんな作業をしていて、どこの辺りに『めんどくささあ』を感じているのか? まずは、そこから聞かせてください。

※ 大青鉄工の相談ページへジャンプします。

まだ相談するほどではない方へ

印字機器を選ぶときや、導入前に整理しておきたいことを無料冊子にまとめています。 

「まずは自分たちで整理してみたい」という方は、こちらをご利用ください。



記事・事例・動画の更新をLINEでお知らせしています。 気軽に登録してみてください。


『マーキング・コトはじめ』は、
有限会社大青鉄工(ダイセイテッコウ)が運営しています。

舞台へ向かう主役の衣装を整えながら本番を支える舞台スタッフ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

Share!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

All words by

けたろーのアバター けたろー 包装機械移相談士/時短設計®士。

包装機械相談士/時短設計®士。 ご縁を頂いて、産業用インクジェット向けの周辺機器を手掛けるようになりました。インクジェットなど印字装置の性能は、各社でそれほど差はありません。実は、ほんとに大事なことは、印字装置そのものよりも周辺機器なのです。印字作業って携わってる現場からすれば毎日のことなので、なるべくなら作業者さん達の負荷が減らせるようになればいいなって、切に思ってます。

目次