たかが、グリップコンベア… と思われるかもですが、奥が深いんですよね…
こんちは、
マーキングコトはじめ、担当のけたろーです!
今日もありがとう、感謝です。
さて…。
奥深いと思える… グリップコンベアの話し。
グリップコンベアを製作していく過程で、気になる現象が起きたんです。 今までは、それほど気にしてなかったんですけど、これは…! と思って、改良しました。
それは、何か? っていうと…
グリップ時にフレームが〝開く〟という現象。
グリップコンベアって、ワークをグリップした瞬間にフレームにかなりの負荷がかかります。
もちろん、負荷の程度はグリップコンベア自体の設計にもよるでしょうし、グリップさせる際のベルトの間隔の調整の仕方にもよるのでしょうけど、負荷がかかるというのは事実としてあります。
で、問題は負荷がかかったときにどうなる? という点です。
観察していると、グリップした瞬間に下流側のフレームが開くんです。 その後、ワークがグリップコンベアから排出される瞬間には、今度は上流側が開くという現象を確認しました。
文章ではわかりにくいと思いますので、図で解説しますね。
ワークの流れとフレームの開き方はこんな感じです。



グリップしていない、無負荷な状態ではフレームは当然、平行です。 ちなみに、設計時の想定ではグリップしてるしていないに関わらず〝平行〟です。
グリップ時には、下流側… つまり、出口側のフレームが開きます(上の図でグリップ時の画)。 ワークがグリップコンベアの出口を通過する際には、今度は逆に、入り口側のフレームが開きます(上図で排出時の画)。
つまり、ワークが通過するたびに出入り口の間隔が、広くなったり狭くなったりという現象が起きるというわけです。
これの何がまずいの?
グリップコンベアをラインに組み込んだ場合を考えると、ライン上ではワークが頻繁に搬送されます。 とすれば、絶え間なくこの現象が発生するということになります。
この現象が発生していたとしても、グリップコンベアがベルトコンベア間での橋渡しなどの目的で使用される際には、特に問題にはならないのかもしれません。
しかし、グリップコンベアの使用目的が、産業用インクジェットを用いた印字やカメラなどによる検査といった場合にはどうでしょうか?
印字品質に影響を与えたり、検査に影響を与えたりという可能性は否めないです。 また、長期にわたって、この動作が繰り返されることを思えば、グリップコンベア自体にも何かしらの影響が生じているということも言えます。
その解決。
この問題を解決すべく、設計・対応したのがこれです。 とその前に、段階的なことをお伝えします。
フレームの固定で対応した例。
フレームが「開く」と現象を確認した際、それへの処置としてフレームを固定するという方法をとりました。 それがこれです。

フレーム上に、赤いクランプレバーが見て取れると思うのですが、グリップの間隔を調整後、それでフレームを固定して… という方法をとりました。 フレームを固定するので開きがなくなる… ということでの対策です。
いちお、これでも対策ができたのですが…
のちに、納め先に話しを聞いてみると、「いちいち固定しなければならないのでメンドクサイ!」とのことでした。 で、次回で改良したのがこれです。
〝2軸〟を採用しました。
従来では、グリップ時の間隔を決める機構は1軸で考えていたのですけど、軸の取り合いを2軸にすることで、その対策としました。 これにより、上記の現象を抑制することができました。
少し具体的に説明すると、従来では、拡縮させる部分が片側にあって、もう片側はフリーな状態だったのです。 巾調整があると、拡縮する側に倣って、もう片方が動作すると言う感じ。 片側がフリーなので、開きが起きたという見解です。


2軸にすることで、フレームの間隔を偏ることなく調整することができ、それにより、フレームの開きという現象が抑制できました。
価格以上のこと。
正直なところ、グリップコンベア(以外でもなんでもそうなんですけど…)って、コストを下げようとすれば、下げれる代物です。 でも、やっぱり、そうやってできた モノ って、それなりなのですよね。
その辺のことは、わかってほしいな… と、製作する側の願いとか、想いでもあります。

安く使えればなんでもええやん。
って思われる方もいらっしゃいますよね。 その考えを否定するつもりはありませんし、それはそれでいいと思います。
でも、価格だけで全部を比較しないでほしい… というのが、ボクの願いです。 たぶん、これって、〝健全なメーカー〟ならどこでも思ってることなのだと思います。
設計時の願い、想い。
設計するときに、考えることがあります。 それは、作業スタッフや現場に対してのことです。
(自分が考えた装置が)
どんな風に使われるんだろう? 使い勝手は満足してもらえるんだろうか? 怪我なく、安全に使ってもらえるんだろうか? 粗相することなく、会社さんの売上げに貢献できる働きをしてくれるだろうか? …
そんなことを想いながら、設計してます。
なので、一般的な装置よりも高くなってしまう可能性も、否定しません。
グリップコンベアでいうなら、2軸の採用はそれなりにコストもかかって製作するのも多少手間になります。 でも、それでもキチンとしたものを納めたいし、ラインに支障がでるような構造にはしたくないということも前提にあります。
生産現場での作業がスムーズになることを思えば、コストアップや手間の部分もどうってことないかなぁって思ってます。 設計するときや、創る時は、たいてい、こんな感じなのですけどね。笑
装置や機械は誰のためにある?
… ということを思えば、それはやっぱり生産現場にある… ということです。
ボクらの仕事は、生産現場で円滑に、安全に作業ができて、それによって、その会社さんが利益を得る… ということへのお手伝いなのですから。
ビビッときたら、お気軽にご相談ください!