マーキング・コトはじめでは、底面印字に対応するための方法を、グリップコンベアを含む4つのアプローチで比較し、まとめています。自分の現場に合った方法を探す判断材料にしてください。
底面印字は、グリップコンベアだけじゃありません
底面印字というと、グリップコンベアを思い浮かべる方が多いと思います。
たしかに、底面印字においてグリップコンベアはポピュラーで、安定した方法のひとつです。ただし、万能というわけではなく、いくつか注意点もあります。
グリップコンベアが苦手なケース
例えば、次のような条件では適用が難しいことがあります。
- 変形しやすい素材の容器
- 小さすぎるもの、薄すぎるもの
- 自立できない形状
- 作業者が恐怖感を感じやすい運用
つまり、「そもそもグリップできないもの」については、構造的に適用できません。
特に最後の「作業者への恐怖感」は、意外と見落とされがちなポイントです。
グリップコンベアに手投入する場合、走行しているベルトの近くまで手を近づける必要があります。人によってはそれが怖く、恐る恐る投入してしまうことで、
- 正しくグリップされない
- 搬送姿勢が乱れる
- 印字が歪む
といったトラブルにつながることもあります。
それでも、底面印字には大きなメリットがあります
では、なぜ底面印字が選ばれるのか? も整理しておきます。
底面印字の一番のメリット
それは、
プリントヘッドの高さ調整が不要になること(=高さを一定に保てること)です。
製品サイズが複数ある場合、上面印字ではサイズが変わるたびにプリントヘッドの高さ調整が必要になります。
この作業は、
- ヘッドスタンドの構造
- 作業者の慣れ
- 再現性の有無
に大きく左右されます。
器材の仕様や精度によっては、高さを戻したつもりでも微妙にズレてしまい、「前と同じ条件に戻らない」というケースも少なくありません。再現性が担保されていなければ、印字品質は安定しません。
一方、底面印字であれば、こうした調整作業が不要になり、日々の作業性が大きく向上します。(下図参照)
毎日の作業性を考えると、このメリットは大きいです。

底面印字では高さを一定に保てるため、段取り替えや日々の作業が安定します。
グリップコンベア以外の底面印字アプローチ
ここからは、グリップコンベア以外で底面印字に対応する方法を3つご紹介します。
① ダブルベルトコンベアによる方法
2本のベルトを平行に配置し、その間をまたぐようにワークを置く方法です。


向いているケース
- グリップすると壊れてしまう素材
- 薄物・軽量品
- 作業性を重視したい現場
通常のベルトコンベアに近い感覚で扱えるため、作業者にとっても負担が少ない方法です。
選定時の注意点
- プリントヘッドの印字距離が確保できるか
- ワークサイズがベルト間隔より小さくないか
- 転がらない形状かどうか
特性を理解したうえで選んでください。
事例
贈答品など、オーバーラッピングされた箱への底面印字。



サイズ違いに対応できるよう、ハンドル操作でベルト間隔を調整できる構成とし、搬送中に整列させながら印字を行いました。
② ローラーコンベアを使う方法
ローラの隙間を利用して、下側から印字を行う方法です。


向いているケース
- ガラス瓶など、底面に窪みがある容器
- 平たい容器(化粧品など)
ガラス瓶の他には、プラスチック製で厚みのない浅い容器などもこの方法を用いることができます。例えば、化粧品など平たい容器に入ったハンドクリームなどです。
注意点
- 印字後のインク汚れ
- 小さすぎるワークは不向き
ただし、汚れ対策については機械的な工夫で対応可能です。
事例
ジャム瓶のようなガラス容器への底面印字。底面の窪みを活かし、ローラ汚れを防ぐ構成で対応しました。
③ 専用機で対応する方法
形状が決まっている場合には、専用機で対応するという選択肢もあります。
専用機が向いているケース
- 円筒形で転がりやすい容器
- グリップや通常搬送が難しい形状
事例①:細長い円筒容器
転がり防止用のアタッチを設け、手投入で横から底面印字を行う構成です。

事例②:多品種容器への対応
化粧品容器など、形状が多岐にわたるケースでは、
- 容器サンプルをお預かり
- 1台で複数形状に対応
- ヘッド角度を自在に変更
といった構成で対応しました。

上記の装置の動画がこちららです。
化粧品用途を想定し、多品種・多形状の容器に対応できるよう設計した底面印字用コンベアの実機動画です。容器形状に応じてプリントヘッドの向きを切り替えながら、安定した搬送と印字を行っています。容器だけでなく、カートンや箱形状にも応用可能な構成です。
この方式が向いているケース
この多品種対応コンベアは、「底面印字はしたいけど、方法をひとつに割り切れない」そんな現場に向いています。
たとえば、こんなケースです。
- 化粧品など、容器形状・サイズが多岐にわたる
- 円筒・角形・平たい容器などが混在している
- 容器だけでなく、カートンや箱形状にも印字したい
- カタログ、冊子のようなものにも対応したい
- グリップコンベアでは、つかめない・不安定になる容器がある
- ローラやダブルベルトでは、対応しきれない形状がある
あらかじめ取り扱う容器サンプルを整理したうえで設計するため、
「この形はダメ」「このサイズは無理」
といった制約を減らし、一台で幅広く対応できるのが特長です。
導入前に知っておきたい注意点
一方で、万能というわけではありません。導入前に、次の点は押さえておきたいところです。
- 汎用品ではなく、用途整理ありきの設計になる
事前に扱う容器の洗い出しが重要です - 容器が頻繁に入れ替わる現場では、
段取りの考え方を決めておく必要があります - 形状の自由度が高い分、
初期設計時のすり合わせが重要になります
逆に言えば、この整理さえできていれば、「その場しのぎ」ではなく、長く使える底面印字の仕組みになります。
方法に迷ったら、まず整理から
ここまで見ていただいて分かる通り、底面印字に「これ一択」という正解はありません。
グリップコンベア、ダブルベルト、ローラ、専用機──
底面印字には、いくつかの選択肢があります。
大切なのは、「どの方法が正解か」ではなく、「今の現場に何が合っているか」です。
底面印字について、まずは状況を聞かせてください
少しでも迷いがあれば、今の状況を一度、整理してみませんか。
- この方法で、本当にいけそうか
- 今の条件に、無理がないか
- もっと現実的な選択肢はないか
導入してから後悔しないためにも、事前の整理がいちばん大切 だと考えています。この先を決めるうえで必要なのは、
- どんな容器・形状なのか
- どれくらいの数量・頻度なのか
- スポット対応なのか、継続運用なのか
といった、現場の前提条件です。
「自分の現場の場合はどの方法が合うか分からない」
「条件が特殊で既製品では難しそう」そんな状況でも大丈夫です。
まずは、話してみませんか?
印字工程や作業のこと、搬送のこと、どこから手をつければいいかわからない段階でも大丈夫です。
うまくまとまっていなくても構いません。いま感じている「引っかかり」を、そのまま話してみてください。
※ 売り込みを目的とした対応は行っていません。
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