製品が変わるたびに、コンベアを触っていませんか?
ひとつのラインで、サイズや形状の違う箱や容器などを扱っていると、品種を変えるたびに搬送部分の調整が必要になることがあります。
ガイドの幅を合わせて、実際に製品を流してみる。 少し傾けばもう一度調整して、印字位置も確認する…。
一回の作業だけを見れば、それほど大きな負担には感じないかもしれません。 ところが、一日の中で何度も品種が変わる現場では、そのたびに生産を止めて調整することになります。
しかも、調整が終わればすぐに生産できるとは限らず、最初の何個かを流して状態を確認しなければならないこともあります。 それに加えて、以前扱った製品にもう一度戻る場合、前回と同じ状態を再現する必要もあります。
同じ製品なのに、作業した日によって印字位置や文字のサイズが変わってしまうと、工場での品質管理そのものが疑われてしまいます。
こうした段取りは、ひとつひとつは小さくても、積み重なると現場の時間を使います。
そこでマーキング・コトはじめでは、品種やサイズが変わるたびに調整することを前提にするのではなく、できるだけ調整せずに複数の品種を流せないかというところから搬送方法を考えます。
そのための選択肢のひとつが、多品種対応ベルトコンベアです。
「品種が違う」にも、いろんなパターンがあります
『多品種に対応できる』と一口に言っても、実はいろんなパターンがありますよね。
同じ形状で色合いだけが違う。 同じ形状でサイズだけが違う…。 そういう品種違いであれば、通常のガイド調整の延長線上で対応できることもあります。
このコンベアが対象にしているのは、もう一段踏み込んだ品種違いです。
つまり、形状そのものが変わってしまうケースです。
たとえば、ペンのような細長い円筒形の容器。 箱のようなもの。 メダルのように扁平な容器。 フィルムのような薄物。 チューブ状のもの…。
高さも幅も全然違って、そもそも、ハンドリングの仕方(扱い方)が違う。
そういったバラバラな形状のワークを、1台で流せるようにしたのが、多品種対応ベルトコンベアです。
「調整を簡単にする」だけではなく、「調整そのものを減らす」
品種替えの負担を減らそうとすると、一般的には「ガイドを簡単に動かせるようにする」「目盛りを付けて位置を再現しやすくする」といった方法が考えられます。
もちろん、それで十分な現場もあります。
ただ、毎日のように形状が変わるのであれば、調整作業を速くするだけではなく、そもそも調整する回数や箇所を減らせないかを考える余地があります。
たとえば、幅の違う製品が流れてきたときに、そのたびに搬送条件を作り直さなければならない工程と、複数の製品を同じ考え方で流せる工程では、日々の扱いやすさが変わってきます。
多品種対応ベルトコンベアで目指しているのは、機械を高機能にすることではありません。
製品が変わっても、できるだけ人がコンベアを触らずに済む状態をつくること。
その結果として、品種替えのたびに調整へ追われる時間を減らし、本来の生産作業へ戻りやすい工程にしていきます。
印字工程では、品種替えが印字位置にも影響します
印字工程の場合、単に製品をコンベアの上に載せて、流がせばいい…。 というわけではないです。
製品の幅や高さが変われば、ガイドとの位置関係が変わります。 搬送中の姿勢が変われば、印字ヘッドとの位置関係にも影響します。 つまり、搬送側の段取りと印字機器側の段取りは、別々の話ではないんです。
コンベアを調整して、製品を流して、印字位置を確認する。 合わなければ、また少し調整する。
品種数が増えるほど、この繰り返しも増え、作業負荷がかさんでいきます。
だからこそ、印字工程で多品種対応を考えるときには、「何種類流せるか」だけではなく、製品が変わったときに、人が何をしなければならないのかを見ることが大切です。
その作業をひとつずつ見ていくと、本当に必要な調整と、仕組みを変えれば減らせる調整が見えてくることがあります。 考えたいのは、印字のしやすさと同時に、作業のしやすさです。
ある依頼と、ダブルベルトコンベアの経験から生まれました
正直に言うと、多品種対応ベルトコンベアは、最初から狙って開発したものではありません。
きっかけは、受託包装をされているお客様からのご相談でした。
受託包装の現場では、依頼される製品の形状、種類を選べません。 今日は円筒形の容器、明日は扁平な容器というように、形状の異なる製品への対応を求められることがあります。 また、受託の業務では、サンプル品への対応も多く、その場合、小さな容器への対応が求められるとのこと。
例えば、化粧品の場合では、試供品への対応依頼が多いとのこと。 試供品では、文字通り「お試し品」なので、容器サイズも小さく、形も様々になるとのことでした。
対応できる形状の幅が狭ければ、それだけ受けられる仕事も限られてしまいます。 極端に言えば、対応できない形状の依頼が来たときに、その仕事自体を失ってしまう可能性もあるということです。
過去の経験からのアイデアを詰めました。
まず、ペンのような細くて長い製品では、一般的なフラットなベルトでは転がってしまうため、それに対応できるような構成を考えました。 加えて、扱う製品の中には、DM(ダイレクトメール)で使うフライヤーのような薄いワークもあり、それにも対応しておきたいとのことでダブルベルト方式を組み込むことにしました。
薄物ワークへの課題に応えるうえで役に立ったのが、ダブルベルトコンベアで培ってきた技術です。
また、印字位置についても同じく、上から、横からの印字パターンに応じて簡単に変えられる構造にしています。
そうやって、形状の全く異なる製品を幅広くカバーできる搬送方式として仕上がっていったのが、この多品種対応ベルトコンベアです。 形状の違いに柔軟に対応できることが、このコンベアの一番の強みになっています。
ただ、多品種だからといって、何でも流せるわけではありません
ここまで形状の違いへの対応力についてお話ししてきましたが、どんな製品でも無条件に流せるわけではありません。
扱いたい製品が、大きさの違いだけなのか、形状そのものが違うのか、材質や重量が違うのか、印字したい位置がそれぞれどうなのか?
その違いが大きくなれば、それらの条件を1台に集約し対応することが適切でない場合もあります。 無理にひとつの設備へまとめた結果、構造が複雑になり、かえって扱いにくくなってしまっては意味がないからです。
マーキング・コトはじめでは、「何品種に対応できます」と品種数だけで考えるのではなく、実際に扱う製品を確認しながら、どこまで共通化するのが現場にとって使いやすいのかを考えます。
こんな工程で検討できます。
例えば、このような工程で検討できます。
一日の中で品種替えが何度もある
扱う製品が頻繁に変わり、そのたびにガイド、治具などで搬送条件を調整している場合には、段取りそのものを減らせる可能性があります。
また、異なる製品形状への対応で、複数台の装置を使い分けている場合、1台で作業できる可能性があります。
一回数分の調整でも、それが毎日繰り返されているのであれば、年間で見ると無視できない時間になります。 複数台での対応では、装置の設置場所の問題もあります。
多品種への対応を考える目的は、そういった課題への対策です。 品種が変わっても、それに伴う作業負荷が膨らまないような工程をつくることにあります。
調整する人によって、流れ方が変わる
ガイド位置などを作業者の感覚で合わせていると、同じ製品でも調整する人によって状態が少し変わることがあります。 経験のある人なら短時間で合わせられても、慣れていない人には難しい。
そのような状態では、品種替えそのものが属人的な作業になってしまいます。
作業を整え、できるだけ平準化しやすくすることで、「あの人でなければ合わせられない」という状態から離れやすくなります。
また、属人化への対策はもちろんのこと、最近の人手不足の状況を考えれば「誰でも簡単にできる状態」にしておくことが大切だと考えています。 スポットのような雇用形態でも、誰でもすぐに対応できる環境が実現できます。
品種替えのたびに印字確認を繰り返している
搬送位置が変われば、印字位置にも影響することがあります。
品種替えのたびに何度もテストして印字位置を合わせているのであれば、製品がどのように搬送されているのかをまず、確認した方がよいかもしれません。
搬送状態をできるだけ共通化できれば、印字工程全体の段取りを減らせる可能性があります。
目指すのは、品種が変わっても「慌てなくていい」工程です
多品種対応というと、「何種類の製品に対応できるのか」という数字に目が向きがちです。 でも、現場で本当に重要なのは、対応品種の数だけではありません。
次の製品へ切り替えるときに、ライン(工程)をどのくらい止めなければならないのか? 誰が調整しても同じ状態に戻せるのか? 調整後に何度テストしなければならないのか?
そうした毎回の作業まで含めて考える必要があります。
品種替えのたびに専任のスタッフが工具を持ってコンベアの前へ行くのではなく、誰でも簡単に、できる限り少ない調整で次の製品を流せる。
そんな環境ができれば、専任スタッフは調整のために呼ばれる回数が減り、もう一つの作業へ目を向ける余裕も生まれます。
多品種に対応することよりも、品種が変わっても現場が振り回されないこと。
ボクらは、そこを目指して搬送方法を考えています。
参考価格
目安として、約120万円〜です。
実際の価格は、対象物の種類や寸法、コンベアの長さや幅、搬送速度、必要な調整機構、制御内容、センサなどの周辺機器、前後設備との接続方法によって変わります。
このコンベアでは、単に「何品種流せるか」だけで仕様を決めるのではなく、現在の品種替えで何を調整しているのか、そのうち何を減らせるのかを確認して構成を考えます。
たとえば、1回の品種替えに10分かかり、それを1日に何度も繰り返しているのであれば、設備価格だけでなく、そのために使っている時間や、ラインを止めている時間も含めて考える必要があります。
逆に、品種替えの回数が少なく、簡単なガイド調整だけで対応できているのであれば、無理に多品種対応の設備へ変える必要はありません。
「今扱っている製品なら、どの程度の設備になるのか」という段階から、実際のワークを確認しながら検討できます。
製作・改善事例
多品種を扱う印字工程や、段取り替えを考慮した搬送設備など、これまでの製作・改善事例をご紹介しています。

ベルト下部の空間に印字機器本体を収容できます。
設備そのものを見るだけでなく、もともと現場で何に困っていたのか、なぜその方法を選んだのかという部分も含めて見ていただくと、自社の工程と重なるところが見つかるかもしれません。
事例の中では、動画も公開しています。
導入までの流れ
多品種対応を考えるときには、「何品種あるか」だけでは十分ではありません。
それぞれの製品で何が違うのか、現在は品種替えのたびにどこを調整しているのか、その作業にどのくらい手間がかかっているのか? を確認します。
実際に扱っている、もしくは扱いたい製品の現物とともに、現在の工程が分かる写真や動画があれば、より具体的に検討できます。
すべての条件を1台に集約することが、必ずしも使いやすさにつながるとは限りません。
扱う製品をカテゴライズし、調整代が極端になる場合は別で考えます。 簡単な調整だけ残した方が、設備をシンプルにできる場合もあります。
現場での使い方を確認しながら、どこまで共通化するのがよいのかを考えます。
対応したい製品と必要な機能が整理できたところで、コンベアの構成や必要な機構を具体化し、仕様と費用をご提案します。
最初から設備仕様を決めていただく必要はありません。
「品種替えのたびに、ここを触っている」から聞かせてください
多品種対応の設備を考えるとき、最初から「多品種対応ベルトコンベアを導入したい」と決めていただく必要はありません。
むしろ知りたいのは、製品が変わるときに、現場で何をしているのかです。
ガイドを動かしている。印字位置を合わせ直している。何度かテストしてから生産を始めている…。 そうした普段の作業の中に、改善できるところが隠れていることがあります。
設備を新しくすることが目的ではなく、品種が変わっても、できるだけ手を取られずに次の生産へ移れる工程にすることが目的です。
現在扱っている製品と、品種替えのときに困っていることを聞かせてください。どこまで調整を減らせるのか、一緒に整理するところから始めます。
まずは、話してみませんか?
「形も大きさも違うけれど、できれば同じ設備で流したい」
そんな場合は、現在扱っている製品について聞かせてください。
製品の写真や寸法、品種替えのときにどこを調整しているのかが分かれば、どこまで共通化できそうか、逆に分けて考えた方がよいものはないかを一緒に整理できます。
最初から「多品種対応ベルトコンベアを導入する」と決めていただく必要はありません。
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