印字機器を選んだ。テスト印字もうまくいった…。 なのに、実際の生産ラインに組み込んでみると、
「印字位置が安定しない」「印字が傾いてしまう」「品種が変わるたびに調整が必要になる」
結局、人が付きっきりになってしまってる…。 現場のそんな声をよく耳にします。
印字機器そのものに問題がなくても、対象となる製品をどう扱って、どう運ぶかによって、印字の品質は大きく変わってきます。
マーキング・コトはじめでは、印字機器そのものではなく、その前後にある搬送、姿勢制御、位置決め、そして、作業のしやすさから印字工程を考えています。
このページでは、印字工程でよくある困りごとと、それに対する改善の考え方をまとめました。
似たような状況があれば、気になる項目から詳細ページへ進んでみてください。
印字機だけでは、解決できないことがあります
産業用インクジェットプリンタやレーザーマーカー、サーマルプリンタ、ラベラーなどには、それぞれ得意な仕事があります。 ただ、そういった機器が性能を発揮するには、
- 製品が毎回、適切な姿勢で流れてくる
- 印字面とヘッドの距離が毎回安定している
- 印字したい位置(高さ・距離)を毎回再現できる
- 毎回同じ、必要なタイミングで製品を検出できる
といった、周辺の条件も整っている必要があります。
印字位置がズレるからといって、必ずしも印字機の精度が原因とは限りません。
- 製品が蛇行している。
- 流れてくる姿勢が毎回違う。
- ガイドに当たって製品が動いている。 など…。
こうした搬送側の問題が、結果として「印字のズレ」になって現れていることもあります。
だからボクらは、どこで印字が不安定になっているのか。 まず、そこから考えます。
こんな印字工程で困っていませんか?
以下のような状況に、心当たりはありませんか。
| こんな状況や現象がある | 見直すポイント |
|---|---|
| 印字位置が安定しない | 製品の流れ方・搬送 |
| 製品が倒れる、傾く、蛇行する、揺れる | 保持しながらの搬送 |
| 薄物でセンサが安定しない | ベルトの隙間を使った検出 |
| 印字のために人が付いている | 前後工程を含めた自動化 |
| 品種が変わるたびに調整している | 調整箇所そのものの削減 |
| 底面や側面など印字しにくい場所がある | 搬送方式・保持方法 |
それぞれ、もう少し詳しく見ていきます。
印字する位置が安定しない
製品そのものは流れていても、左右に動いたり傾いたりすれば、印字位置も変わります。 印字機を調整する前に、製品の流れ方を見直した方がよい場合があります。
製品が倒れる、傾く、蛇行する
背の高い製品や形状の安定しない製品では、一般的なベルトコンベアだけでは姿勢を保ちにくいことがあります。 グリップしながら搬送するなど、製品の特性に合った方法を考えます。
薄物でセンサが安定しない
厚みのない薄型の製品では、トリガ用センサの設置が難しくなる場合があります。 その場合、検出方法から検討し、コンベアの構成を考える必要があります。
印字するために人が付いている
製品を置く。向きを合わせる。印字位置まで送る。印字後に取り出す…。 印字そのものは自動でも、その前後を人が行っていれば、作業者はその場を離れられません。 人が付きっきりにならなくても流せる方法を考えます。
品種が変わるたびに調整している
幅や高さの違う製品を流すたびに、ガイドや印字位置を調整する。 一回の作業は数分でも、毎日何度も繰り返せば負担になります。 「調整を速くする」だけでなく、そもそも調整する箇所を減らせないかというところから考えます。
底面や側面など、印字しにくい場所へ印字したい
印字したい場所によっては、普通にコンベアへ載せて流すだけでは無理な場合があります。 製品を保持する方法やコンベアの構成を変えることで、印字できる場所をつくります。
印字工程に合わせた改善機器
対象物や印字位置、現在の現場での機械設備などに合わせて、印字工程の周辺機器を設計・製作しています。 完成品をそのまま当てはめるのではなく、これまで製作してきた仕組みをベースにしながら、必要な部分を現場に合わせて考えます。
グリップコンベア
製品を左右から保持して、底面を空けたまま搬送する。
左右のベルトで製品を挟み、グリップ(保持)しながら搬送する方式です。
瓶やボトルなどの姿勢を保ちながら搬送したい場合だけでなく、底面へ印字したい、搬送中だけ製品の底を空けておきたい、といった工程でも使います。
底面への印字、製品の姿勢が安定しない、通常のベルトコンベアでは印字したい場所を確保できない
ただし、すべての製品にグリップコンベアが適しているわけではありません。製品の形状や大きさ、材質、前後工程などを見ながら、グリップ搬送が適しているかを判断します。
瓶や缶、ボトル、樹脂容器など、左右から保持しやすいワークについては、標準型で対応できる場合があります。
ダブルベルトコンベア
薄物ワークを、どう検出するかというところから考える。
2本のベルトを並列に配置し、ベルトとベルトの間に隙間を設けたコンベアです。
厚みのない薄物ワークでは、一般的な搬送方法のままだと、印字のきっかけとなるセンサーで安定して検出しにくい場合があります。
そこで、2本のベルトの間にできる隙間を利用し、ワークを検出しやすい位置へセンサーを配置する方法があります。印字する場所によっては、この隙間を利用して裏側への印字を考えることもできます。
薄物ワークの検出、印字トリガの安定、裏面への印字
ただし、薄物ワークだからといって、必ずダブルベルトコンベアが必要になるわけではありません。
既存のコンベアや別の検出方法で対応できるのであれば、その方がシンプルな場合もあります。ワークの形状や現在の搬送方法、センサーとの位置関係を確認しながら、どの方法が無理なく使えるかを考えます。
多品種対応ベルトコンベア
品種・サイズが変わるたびの調整を、できるだけ少なくする。
製品が変わるたびに、ガイド幅や高さ、印字位置などを調整している現場では、その段取り自体が負担になっていることがあります。
多品種対応ベルトコンベアでは、単に「たくさんの種類を流せるコンベア」を目指すのではなく、現在の品種替えで何を調整しているのかを確認し、そのうち、どの調整を減らせるかというところから考えます。
形状や大きさが大きく異なる製品を、すべて同じ条件で搬送できるとは限りません。だからこそ、どこまで共通化できるのか、逆に分けて考えた方がよいものはないかを整理したうえで、搬送方法を考えます。
品種やサイズの切り替えのたびに発生する調整や段取り
受託生産のように扱う製品が変わりやすい現場でも、品種替えのたびに設備調整へ追われる時間をできるだけ減らし、次の生産へ移りやすい工程を目指します。
プリントヘッド用スタンド
プリントヘッドを、動かしたあとでも位置を合わせやすくする。
プリントヘッドは、単に固定できればよい場合もあります。印字位置をほとんど変えない現場であれば、シンプルな取り付け方法で十分なこともあります。
一方で、品種替えのたびに高さや前後位置を変更したり、清掃やメンテナンスのためにヘッドを動かしたりする現場では、「動かせること」だけでなく、「前の位置へ戻しやすいこと」も日々の作業に影響します。
プリントヘッドの位置調整、品種替え後の位置合わせ、清掃・メンテナンス時の作業性
実際にプリントヘッドをどのくらい動かすのか、どこを調整するのかを確認しながら、必要な取り付け方や調整方法を考えます。
専用のスタンドを作ることが目的ではありません。既存の取り付け方法で十分なのであれば、そのまま使う方がシンプルです。
スライダー
製品を流しにくいなら、何を動かすかから考える。
印字するときは、コンベアで製品を流し、プリントヘッドの前を通過させる方法が一般的です。
ただ、対象物が小さくて安定しない、形状が特殊で搬送しにくい、印字するためだけに搬送設備をつくると大がかりになる…。 といった場合もあります。
そんなときは、無理に製品をコンベアで流すのではなく、製品を所定の位置に置いてプリントヘッド側を動かす方法や、プリントヘッドを固定して製品側をスライドさせる方法も検討できます。
製品をコンベアで搬送しにくい、製品を固定したまま印字したい、印字のためだけに搬送設備を複雑にしたくない
どちらを動かす方がよいかは、製品の形状や印字位置、現在の作業方法、前後工程などによって変わります。
スライダーを使うことを先に決めるのではなく、製品とプリントヘッドのどちらを動かす方が、現場にとって無理がないのかというところから考えます。
印字用途の各種搬送装置
製品を運ぶだけではなく、印字できる状態をつくるところから考える。
印字工程では、製品をプリントヘッドの前まで運べば終わり、とは限りません。
ばらばらの状態で供給される製品を一つずつ切り出す。 向きの違う製品の姿勢をそろえる。 印字する位置まで一定の間隔で送り出す。 印字に必要なタイミングで検出し、印字後は次の工程へ受け渡す…。 など。
対象物によっては、こうした一連の動きを考えなければ、安定した印字工程にならないことがあります。
そのため、マーキング・コトはじめでは、コンベア単体だけでなく、
- 製品の供給・切り出し
- 整列・姿勢制御
- ピッチ送り
- 位置決め
- 搬送中の保持
- センサーによる検出
- 印字位置との同期
- 前後設備との受け渡し
- 印字後の排出
などを含めて、工程全体から搬送方法を考えます。
たとえば、「人が一個ずつ製品を置いている」という作業でも、単純にコンベアを追加すれば自動化できるとは限りません。
製品がどのような状態で供給され、どの向きで印字する必要があり、どの程度の間隔で送り出せばよいのか。その前後で何が起きているのかまで見て、必要な機構を組み合わせていきます。
グリップコンベアやダブルベルトコンベアのような方法だけで解決できない場合には、対象物と工程に合わせて、搬送機構そのものから設計・製作します。
機械を先に決めるのではなく、「この製品を、どうすれば印字できる状態まで持っていけるか」から考える。
ここは、印字機器だけでは解決しにくい工程を、機械設計の側から考える領域です。
特定の機器を売ることが目的ではありません
ここまでいくつかの改善機器をご紹介しましたが、例えば、『こんな問題がでてるから、これで対応しよう』と単純に決められるわけでもありません。
同じように見える困りごとでも、原因が違えば改善方法も変わります。
コンベアを新しく作らなくても、ガイドやヘッド位置を見直すだけで改善できる場合もあれば、印字工程だけでなく前後工程まで含めて考えた方がよい場合もあります。
技術はあくまで、現場を楽にするための手段です。 まず機器を決めてからではなく、まず相談から、の方が、課題は解決しやすいと思います。
よくある質問。
実際の改善・製作事例
これまでに製作してきた印字工程の設備や、現場で考えてきた改善事例をご紹介しています。 完成した機械だけでなく、
「なぜ、その方法にしたのか」
「どこが問題だったのか」
という考え方も含めて紹介しています。 自社の工程と似た事例があれば、改善を考えるヒントになるかもしれません。
「うちの製品なら、どうなる?」からで大丈夫です
印字工程について相談するとき、
「グリップコンベアが欲しい」 「この仕様で見積してほしい」
というところまで決めていただく必要はありません。
- 「この袋をうまく流したい」
- 「この位置へ印字したい」
- 「品種変更の調整を減らしたい」
- 「今の印字機をそのまま使いたい」
そんなところからで大丈夫です。 対象物の写真や現在の工程が分かれば、コンベアが必要なのか、それとも別の方法がよいのかも含めて一緒に考えます。
まだ設備の仕様が決まっていない段階でも、まずは困っていることを聞かせてください。
まずは、話してみませんか?
印字工程や作業のこと、搬送のこと、どこから手をつければいいかわからない段階でも大丈夫です。
うまくまとまっていなくても構いません。いま感じている「引っかかり」を、そのまま話してみてください。
※ 売り込みを目的とした対応は行っていません。
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