底面印字は、グリップコンベアだけじゃありません
底面印字というと、
グリップコンベアを思い浮かべる方が多いと思います。
たしかに、底面印字において
グリップコンベアはポピュラーで、安定した方法のひとつです。
ただし、万能というわけではなく、いくつか注意点もあります。
グリップコンベアが苦手なケース
例えば、次のような条件では適用が難しいことがあります。
- 変形しやすい素材の容器
- 小さすぎるもの、薄すぎるもの
- 自立できない形状
- 作業者が恐怖感を感じやすい運用
つまり、「そもそもグリップできないもの」については、
構造的に適用できません。
特に最後の「作業者への恐怖感」は、
意外と見落とされがちなポイントです。
グリップコンベアに手投入する場合、
走行しているベルトの近くまで手を近づける必要があります。
人によってはそれが怖く、恐る恐る投入してしまうことで、
- 正しくグリップされない
- 搬送姿勢が乱れる
- 印字が歪む
といったトラブルにつながることもあるんです。
それでも、底面印字には大きなメリットがあります
ここで、
なぜ底面印字が選ばれるのかも整理しておきます。
底面印字の一番のメリット
それは、
プリントヘッドの高さ調整が不要になること
(=高さを一定に保てること)です。
製品サイズが複数ある場合、
上面印字ではサイズが変わるたびに
プリントヘッドの高さ調整が必要になります。
この作業は、
- ヘッドスタンドの構造
- 作業者の慣れ
- 再現性の有無
に大きく左右されます。
高さを戻したつもりでも微妙にズレてしまい、
「前と同じ条件に戻らない」
というケースも少なくありません。
一方、底面印字であれば、
こうした調整作業が不要になり、
日々の作業性が大きく向上します。(下図参照)
毎日の作業性を考えると、このメリットは大きいです。

グリップコンベア以外の底面印字アプローチ
ここからは、
グリップコンベア以外で底面印字に対応する方法を
3つご紹介します。
① ダブルベルトコンベアによる方法
2本のベルトを平行に配置し、
その間をまたぐようにワークを置く方法です。


向いているケース
- グリップすると壊れてしまう素材
- 薄物・軽量品
- 作業性を重視したい現場
通常のベルトコンベアに近い感覚で扱えるため、
作業者にとっても負担が少ない方法です。
選定時の注意点
- プリントヘッドの印字距離が確保できるか
- ワークサイズがベルト間隔より小さくないか
- 転がらない形状かどうか
特性を理解したうえでの選定が重要になります。
事例
贈答品など、
オーバーラッピングされた箱への底面印字。



サイズ違いに対応できるよう、
ハンドル操作でベルト間隔を調整できる構成とし、
搬送中に整列させながら印字を行いました。
② ローラーコンベアを使う方法
ローラの隙間を利用して、
下側から印字を行う方法です。


向いているケース
- ガラス瓶など、底面に窪みがある容器
- 平たい容器(化粧品など)
ガラス瓶の他には、
プラスチック製で厚みのない浅い容器なども
この方法を用いることができます。
例えば、化粧品など平たい容器に入った
ハンドクリームなどです。
注意点
- 印字後のインク汚れ
- 小さすぎるワークは不向き
ただし、
汚れ対策については機械的な工夫で対応可能です。
事例
ジャム瓶のようなガラス容器への底面印字。
底面の窪みを活かし、
ローラ汚れを防ぐ構成で対応しました。
③ 専用機で対応する方法
形状が決まっている場合には、
専用機で対応するという選択肢もあります。
専用機が向いているケース
- 円筒形で転がりやすい容器
- グリップや通常搬送が難しい形状
事例①:細長い円筒容器
転がり防止用のアタッチを設け、
手投入で横から底面印字を行う構成です。

事例②:多品種容器への対応
化粧品容器など、
形状が多岐にわたるケースでは、
- 容器サンプルをお預かり
- 1台で複数形状に対応
- ヘッド角度を自在に変更
といった構成で対応しました。

上記の装置の動画がこちららです。
容器形状に応じてプリントヘッドの向きを切り替えながら、安定した搬送と印字を行っています。
容器だけでなく、カートンや箱形状にも応用可能な構成です。
この方式が向いているケース
この多品種対応コンベアは、
「底面印字はしたいけど、方法をひとつに割り切れない」
そんな現場に向いています。
たとえば、こんなケースです。
- 化粧品など、容器形状・サイズが多岐にわたる
- 円筒・角形・平たい容器などが混在している
- 容器だけでなく、カートンや箱形状にも印字したい
- カタログ、冊子のようなものにも対応したい
- グリップコンベアでは、つかめない・不安定になる容器がある
- ローラやダブルベルトでは、対応しきれない形状がある
あらかじめ取り扱う容器サンプルを整理したうえで設計するため、
「この形はダメ」「このサイズは無理」 といった制約を減らし、
一台で幅広く対応できるのが特長です。
導入前に知っておきたい注意点
一方で、万能というわけではありません。
導入前に、次の点は押さえておきたいところです。
- 汎用品ではなく、用途整理ありきの設計になる
→ 事前に扱う容器の洗い出しが重要です - 容器が頻繁に入れ替わる現場では、
段取りの考え方を決めておく必要があります - 形状の自由度が高い分、
初期設計時のすり合わせが重要になります
逆に言えば、
この整理さえできていれば、
「その場しのぎ」ではなく、
長く使える底面印字の仕組みになります。
方法に迷ったら、まず整理から
ここまで見ていただいて分かる通り、
底面印字に「これ一択」という正解はありません。
グリップコンベア、
ダブルベルト、ローラ、専用機──
底面印字には、いくつかの選択肢があります。
大切なのは、
「どの方法が正解か」ではなく、
「今の現場に何が合っているか」です。
底面印字について、まずは状況を聞かせてください
少しでも迷いがあれば、
今の状況を一度、整理してみませんか。
- この方法で、本当にいけそうか
- 今の条件に、無理がないか
- もっと現実的な選択肢はないか
導入してから後悔しないためにも、
事前の整理がいちばん大切 だと考えています。
この先を決めるうえで必要なのは、
- どんな容器・形状なのか
- どれくらいの数量・頻度なのか
- スポット対応なのか、継続運用なのか
といった、現場の前提条件です。
ここでは、いきなり機械を売るための話はしません。
この相談窓口では、
いきなり機械を売るための話はしません。
- 今の条件なら、どんな選択肢が現実的か
- そもそも、今すぐ設備を入れるべきかどうか
そういったところから、
一緒に整理するための相談窓口です。
仕様がまだ固まっていなくても大丈夫です。
方向性を考える段階でも、問題ありません。
「相談するほどでもないかな…」
そう感じる段階でも構いません。
まずは、今の状況を教えてください。
