Last updated on 13-Sep-2026
包装作業を機械化するとき、意外と見落とされやすいのが「包材と機械の相性」です。 手作業では何の問題もなく使えていた箱や袋でも、機械で一つずつ供給しようとすると、途端に扱いにくくなることがあります。
こんにちは。 大阪・柏原市で、印字作業や印字工程を楽にして、包装資材のSKUを整理する仕組みづくりをしています。 マーキングコトはじめ、担当のけたろーです。
今日もありがとう、感謝です。
というわけで、今回の話題は…
手作業でするか、それとも機械でするか?

もし、機械化を考えるなら、包材との相性も見ておきたいポイントです。
まず、一口に包材といっても、紙、フィルム、樹脂容器、箱など、さまざまなものがあります。 中身によって包装形態が決まり、商品の見せ方や保護の仕方によっても使う包材は変わります。
そして、もうひとつ考えておきたいのが、その包材を現場でどう扱うのか? ということです。
人が一つずつ手に取って作業するのか。それとも、機械へ積載して、一つずつ自動で供給するのか? 同じ包材でも、この違いによって求められる条件が、ずいぶん変わってきます。
手作業では、人が包材の状態を見ながら、自然に調整しています。
少し曲がっていれば直し、取りにくければ持ち方を変えます。 箱の場合では、折り目が少し甘くても、手の感覚で補いながら組み立てることができます。 ところが、機械はそうはいきません。
寸法、厚み、反り、折り目、表面状態などの小さな違いが、供給や搬送の安定性に影響することがあります。
考えておきたい資材の価格。
ここで、もうひとつ考えておきたいのが資材の価格です。 単価が安いからと採用してしまうと…。
安かろう、悪かろうという問題は、実際の現場で起こりうることです。 見かけは遜色ない資材であっても、作業性が伴わない場合があります。 それは、現場のスタッフが一番よく体感されることなのだと思います。
新しい資材に切り替えた途端、作業が疲れる、やりづらい、微妙に違う…。 ちょっとしたことなのですが、生産性に大きく影響します。 また、それは作業者の疲労度(ストレス)にも関わってきます。
もちろん、価格が安いという理由だけで、すべての資材に問題があるという話ではありません。 ただ、考えたいのは、価格を下げるためには、どこかでコストを下げる必要があるということです。
素材そのものを見直す場合もあれば、資材を製造する工程を減らしたり、加工にかける時間を短くしたりする場合もあります。
出来上がった包材だけを見れば、それほど違いが分からないこともあります。 でも、そのわずかな違いが、機械で連続して扱ったときに現れることがあります。
たとえば、折り目の状態です。
人が箱を組み立てるのであれば、多少折りが甘くても手で補正できます。 一方、自動供給や自動組立では、その差が箱の開き方や姿勢に影響することがあります。
輸入された資材や、完成した包材そのものを海外から調達するケースもありますが、大切なのは国産か輸入品かではなく、実際にその資材を使って、現場の工程が安定して動くかどうかです。
注意したいのは、資材の値段が下がったことと、生産コストが下がったことは、必ずしも同じではない…。 ということです。 ここは、機械化を考えるときに見落としたくないところです。

便利なワンタッチカートン
箱の包装でよく使われるもののひとつに、「ワンタッチカートン」があります。 底部分があらかじめ接着されていて、箱を起こすと底面が形成されるタイプの箱です。

テープを貼って底を作る必要がないので、人が組み立てる作業ではとても扱いやすい包材で、最近、採用されるところが増えてきてる感じを受けます。
ところが、この便利な構造が、機械化するときには難しさにつながることがあります。 実は、これを自動供給しようとしたとき、ボク自身、大きな失敗をしたことがあります。
機械化すると、底部分の厚みが問題になることがあります
ワンタッチカートンは、底を形成するために紙が重なった構造になっています。 一枚だけを手に取っていると、それほど気になりません。
ところが、機械へ供給するために何十枚も積み重ねると、底部分の厚みが累積します。
机の上で何枚か重ねてみると分かりやすいのですが、底側だけが徐々に高くなり、積み重ねた箱全体が傾いてきます。 平たい状態で重なっていくのではなく、三角形な状態になるんです。
機械を考える上では、この状態が非常に厄介なのです。
実は、ボク自身もここで失敗しました
以前、ワンタッチカートンを自動供給する設備を設計したときのことです。 正直、初めて扱った形態でした…。
最初に確認していたサンプルは、わずか1~2枚。 その状態だけを見て、「これなら全く問題なく供給できるだろう」と、甘く判断してしまったんです。
構想を考え、見積もりを提出。 その案件へのオーダーがでて、まとまった数量の資材を預かった後、事態のヤバさに気が付きました。
数量を積み重ねてみると、まったく想定していなかった形になったのです。
累積とは恐ろしいもので、底部分の厚みが効いてるようでした。 カートンが傾き、想定していた方法では安定して自動供給できません。 設計の前提そのものを見直す必要があり、機構を変更して大きく手を入れることになりました。
最終的には対応できましたが、この経験から、包材は一枚だけを見て判断してはいけないということを強く学んだのでした…。 見積もりの甘さもさることながら、案件への向き合い方が甘すぎたのは否めず、しばらく、自己嫌悪な日々が続きました。
今では、しっかりと課題に向き合い、ワンタッチカートンのような資材を扱うときには、実際の使用状態を想定し、積載したときにどうなるのかまで確認するようにしています。
失敗したからこそ、今の設計に生きている経験のひとつです。
ワンタッチカートンを自動化するなら、価格だけでなく後工程まで見ておく
ワンタッチカートンを自動化するときは、箱の形や寸法だけでは判断できないんです。 そこには、様々な要素が関わってきます。
例えば、紙質が変われば厚みや硬さも変わりますし、折り方や接着、成形状態が変われば、積載したときの状態や一枚ずつ取り出すときの挙動も変わります。 加えて、自動化を考える上では、資材の保存状態や納入時の形態も作用してきます。
出来たばかりの資材と、ある程度日数を置いた資材とでは折り目の具合が変わってきます。 出来たばかりのものでは折り目が甘く、また、日数が置かれた資材では、資材間の自重などで折り目部分がしっかり形成され、積載もしやすいという状態がうまれるのです。
納入時の形態では、カートンを束にして輸送する場合では、束にする際の方法によって、資材が変形してしまうこともあります。
つまり、ほぼ、すべての要素がかかってくるということです。
単価を下げるということは、これらの領域に踏み込んでしまう可能性があるというは否めないのです。
単価だけでは計らない。
ここで気をつけたいのが、資材を購入するときの価格と、実際に生産するときのコストを同じものとして考えないことです。 たとえば、資材単価が少し下がったとしても、その資材を使ったことで供給が不安定になり、機械が止まりやすくなったとします。
そのたびに人が直しに行ったり、調整するために誰かが機械へ張り付いたりするのであれば、資材は安くなっても、工程全体では本当に安くなったのか分かりません。
資材のばらつきを吸収するために、設備側へ複雑な機構が必要になることもあります。 逆に、価格を抑えた資材でも、必要な品質が保たれ、工程で安定して使えるのであれば、それでOKです。
大切なのは、資材の購入価格だけを見るのではなく、供給、搬送、加工、人の作業、設備停止なども含めて考え、その資材を使って、現場が無理なく生産を続けられるかどうかまで含めて、判断することです。
そうすると、本当の意味での「安い」が少し違って見えてくるかもしれません。
人が簡単にやっていることほど、機械化するときには分解して考える

こういったことは、ワンタッチカートンだけの話ではありません。
人手の作業は便利なもので、少し傾いていれば直し、一枚が取りにくければ持ち方を変え、引っ掛かりそうなら一度止め…。 といったことを、作業として意識せず、当たり前にやっています。
ところが、そういった作業を機械へ任せようとすれば、人が何を見て、どう判断し、どんな動きをしているのかを一つずつ整理する必要があります。
何気なく無意識に行われているような作業が、機械を考える上では非常に重要になることがあります。
マーキング・コトはじめでは、機械を先に決めるのではなく、今、人がどんな作業をしているのかを確認しながら、供給、切り出し、整列、姿勢制御、位置決め、搬送などを含めて工程を考えています。
ワンタッチカートンのような箱を一枚ずつ供給し、印字工程へ送る方法については、こちらの事例でも紹介しています。 ▶ カートンへのレーザー印字を自動化——給紙装置と組み合わせた事例

ここまで、お読みいただき、ありがとうございます。
📘 もう少し深く知りたい方へ
印字機器の選定や導入を考えるときに、何から整理すればよいのか?
考え方をまとめた無料冊子を用意しています。チェックリストも付けていますので、設備を検討するときの整理にも使っていただけます。
「この箱を自動で供給できる?」からで大丈夫です
ワンタッチカートンに限らず、手作業では簡単に扱えているものでも、機械で一つずつ供給しようとすると難しくなることがあります。
箱の寸法だけでは判断できないこともありますので、実際に使っている包材や、現在どのように作業しているのかを見ながら考えます。
「自動化したいけれど、どういう機械にすればいいか分からない」という段階で、設備の仕様を決めていただく必要はありません。 まず、今、人がどのように作業していて、どこに手がかかっているのかを聞かせてください。
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