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レーザーで両面印字を自動化——反転式搬送装置の設計事例

Last Updated on 2026-09-14

レーザーマーカーを使って、製品の片面だけではなく、表と裏の両方へ印字したい…。 片面への印字であれば、それほど難しくない場合でも、「両面へ」となると考えなければならないことが増えてきます。

こんにちは。 大阪・柏原市で、印字作業や印字工程を楽にして、包装資材のSKUを整理する仕組みづくりをしています。 マーキングコトはじめ、担当のけたろーです。 

今日もありがとう、感謝です。

というわけで、今回の話題は…

目次

ワークの両面への印字。

両面へ印字する方法はいくつかあります。

実際、製品を反転させず、それぞれの面へ印字できるように印字機器や搬送方法を構成する方式で両面印字装置を製作したこともあります。

今回は、お客様からの要望のあって、片面へ印字したあと、搬送途中でワークの表裏を反転させ、もう一方の面へ印字する方式を採用しました。

印字方式は、何を印字するかによって変わります

製品の材質や形状を確認しながら適した印字方式を検討する技術者

今回の設備ではレーザーマーカーを使った印字です。 ただ、印字工程を考えるときには、最初から「レーザーでいこう」と決めているわけではありません。 

産業用インクジェット、レーザーなどの印字機器には、得手不得手があります。 そのため、印字する素材、印字の文字数や面積、消耗品や日々のメンテナンスなどの条件を考慮して、選定を行う必要があります。 

代表的な違いを簡単に整理すると、次のようになります。 ただし、この表はどの方式が一番優れているかを決めるための表ではありません。 特性に応じて、選択肢が変わるということです。

比較項目産業用インクジェットレーザーマーキングサーマルプリンタ
印字方式非接触でインクを印字レーザーを照射してマーキング(非接触)リボンなどを使って印字
(接触)
印字の特性消せる(素材による)消さない消せない(素材による)
消耗品インク、溶剤などが必要な方式がある印字用のインクやリボンは不要インクリボンなどが必要
印字後の乾燥インクや素材によって考慮が必要インクを使わないため不要基本的に不要
印字できる範囲(※)最大 
□100mmくらい
最大
□300mmくらい
最大
□100mmくらい
印字状態(※)比較的粗い
インクや対象物との相性に左右される
比較的鮮明
材質やレーザーの種類に左右される
比較的鮮明
フィルムなどへの鮮明な印字が可能
主な確認事項インクと材質の相性、乾燥、消耗品材質との相性、ヒューム、安全対策対応する包材、リボン、印字幅

※ 機種によります。

レーザーマーカーを選ぶ理由

今回の案件では、ある程度広範囲な印字が必要で、且つ、印字への鮮明さも求められる内容でした。

印字面積が大きくなると、産業用インクジェットでは、その分だけインクの使用量も増えます。 機種によっては溶剤などの消耗品も必要になるため、生産を続けていくうえでは印字コストとして考えておく必要があります。 

そこで採用したのがレーザーマーカーです。 レーザーの場合、印字するためのインクを使いません。 もちろん、だからといって「レーザーの方が安い」と単純に決められるわけではありません。

レーザーマーカー本体の導入費用や、対象となる材質、レーザーの種類によって印字状態も変わります。 加えて、印字時に発生するヒュームへの対策なども必要になります。

それでも、今回のようにある程度広い範囲へ継続して印字する用途では、インクや溶剤といった消耗品を使わないことは、方式を選ぶうえで大きな判断材料になります。

もう一つは、印字後の扱いです。 

インクを使う方式では、素材やインクによって乾燥に時間がかかる場合があります。 印字直後のワークを重ねたり、すぐに次工程へ送ったりするのであれば、乾燥するまでの時間も工程の中で考えなければなりません。

今回の素材では、乾燥に問題が生じるため、インクジェットの選択を見送りました。 もっとも、UVインクなどを用いれば、インクの乾燥時間は短縮できるのですが、ランニングコストが高いこともあり、この点でも候補から外しました。 

その点、こういった事柄は、レーザーでは不要です。 印字範囲、ランニングコスト、印字後の工程など、総合的な判断で考え、レーザーを選択しました。 

印字方式を選ぶ場合には、印字機器の特性だけを比較するのではなく、後工程で、製品がどう流れていくのかまで見ておく必要があります。

両面印字を自動化するために、反転機能付きの機械をつくりました

冒頭でもお伝えした通り、両面印字への対応は、ワークを反転させなくてもできます。 ただ、今回反転式にしたのは、お客さんからの要望があったたためです。 

対象となるワークについて、サイズや形状が異なるパターンが複数あり、また、片面だけの印字でOKなものもある。  そのため、片面/両面印字を切り替えやすくしたいとのことでした。 

それに加えて、QRコードやバーコードへの印字対応と、コード印字後の読み取り確認まで含めて考えたいというご希望もあり、それを実現するために反転方式を採用しました。

設計・製作した装置がこれです。 画像にはありませんが、レーザー照射中にでるヒューム(煙)への対策も取り入れています。

ワークの供給から反転、検査、排出までの一連動作。

専用マガジンへワークをセットし、印字枚数を設定して装置を起動します。

ワークはリフターユニットによってピックアップできる位置まで上昇し、そこから一枚ずつ取り出して、レーザーの印字位置まで搬送します。

片面への印字が終わると、反転ユニットでワークの表裏を入れ替えます。 その状態でもう一方の印字位置まで搬送し、裏面へ印字したあと排出するという流れです。

供給部のマガジンにはサブ(スペア)マガジンを用意し、メインの資材がなくなるとサブへ切り替わり処理を続行します。 資材切れによるオペレーションのチャンスロス(機会損失)を低減させる仕組みを提供しています。

また、印字対象物によっては両面ではなく、片面だけを印字する場合もあるということでしたので、反転ユニットは脱着できる構造にしています。 片面しか印字しないのに、わざわざ反転させる必要はないため、状況に合わせて、必要な機能だけを使えるようにしました。

さらに、バーコードを印字する場合に備えて、印字後の読み取り確認を行うリーダーも組み込んでいます。 

バーコードは、見た目にきれいに印字されていたとしても、実際にリーダーで読み取れなければ意味がありません。 なので、「印字できた」から、「読み取れるところまで確認する」というところまで組み入れています。

印字内容そのものは、レーザーマーカー側のコントローラで設定します。 

動作を動画でご覧いただけます。

動画ではサンプル用の〝シロボテ〟ワークを用いて搬送を行っています。 レーザーでの印字も直接は行っておりません。

印字方式が変われば、前後の工程も変わります

今回の事例でお伝えしたかったのは、単に「両面印字ができる機械をつくりました」ということではないです。

今回の場合で言えば、両面への印字で途中で製品の向きを変える機構が必要になりました。 また、バーコードの印字をするということで、その後の読み取り確認の仕組みも考えました。 レーザーマーキング特有の問題であるヒュームへの対策も行っています。 

機械を考える上では、一連の流れをどのように組み立て、機能的に成立させるか? ということが大切になってきます。 もちろん、そこには人への作業性も加わります。 

印字機器だけを見ていると、その機器で「何が印字できるか」という話になりがちです。 でも、実際の現場で必要なのは、印字機器を使って無理なく仕事が流れる工程をつくることです。

マーキング・コトはじめでは、インクジェット、レーザー、ラベラーといった印字機器そのものだけではなく、その前後にある供給、切り出し、整列、姿勢制御、位置決め、搬送、検査まで含めて考えています。

▶ 印字工程の搬送・自動化設備について見る

印字工程を自動化するときに考えておきたいこと

供給から印字、反転、検査、排出までの設備構成を構想する技術者

印字工程を自動化するときには、印字する瞬間だけを見るのではなく、その前後まで含めて考える必要があります。

製品をどう供給するのか。どの向きで印字位置まで運ぶのか。印字したあと、どのように次の工程へ渡すのか?

必要になる動作は、製品の形状や印字方式、前後工程によって変わります。 だからこそ、最初から「この装置を使う」と決めるのではなく、まず、どこまでを設備で行うのがよいのかを整理していきます。

機械に任せた方がよいことは機械へ。人が行った方がよいことは人へ。

すべてを自動化することが目的ではなく、人が機械に張り付かなくても、無理なく生産を続けられる工程にすることが大切だと考えています。


📘 もう少し深く知りたい方へ

印字機器の選定や導入を考えているけれど、まだ何をどう整理すればいいのかわからない…。 そんなときのために、印字工程を考える際のポイントをまとめた無料冊子を用意しています。

チェックリストも付けていますので、社内での検討や、印字機器メーカー・設備会社との打ち合わせ前の整理にも使っていただけます。

印字工程の「どうすればいい?」から聞かせてください

印字工程を改善したいと思っていても、最初から設備の仕様や方法まで決める必要はありません。

  • 印字するために、人が製品を並べている
  • 製品の向きや位置を揃えるのに手間がかかっている
  • 今使っている印字機器を活かしながら、前後の作業を楽にしたい
  • もう少し無理なく生産を続けられる工程にできないか

そんな、今の現場で気になっていることからで大丈夫です。

インクジェット、レーザー、ラベラーといった印字方式だけでなく、製品の供給や搬送、姿勢制御、位置決めなど、その前後を含めて考えることで解決できることもあります。

機械を決めるところからではなく、まず、今どこで困っているのかを聞かせてください。

※ 大青鉄工の相談ページへジャンプします。


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製品の表面と裏面を見比べながら両面印字の方法を検討する技術者

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けたろーのアバター けたろー 包装機械移相談士/時短設計®士。

包装機械相談士/時短設計®士。 ご縁を頂いて、産業用インクジェット向けの周辺機器を手掛けるようになりました。インクジェットなど印字装置の性能は、各社でそれほど差はありません。実は、ほんとに大事なことは、印字装置そのものよりも周辺機器なのです。印字作業って携わってる現場からすれば毎日のことなので、なるべくなら作業者さん達の負荷が減らせるようになればいいなって、切に思ってます。

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